双姫 Ⅰ
見つけた
『ん~!今日も良い天気♪』
今は午前12:00
私は近くの公園で
母さんが作ってくれたお弁当を食べている。
これが美味いんだなぁ♡
「おねぇちゃんー!待ってよー!」
「もう!早く早く!!」
その会話に箸を止め、顔を上げる。
私の視線の先には幼い姉妹だろうか。
一人が泣いていて
もう一人が手を握って宥めている。
その光景をただジッ…と見詰めていると
泣いている子は笑顔を見せ、
二人仲良く走って行った。
「おねぇちゃん…か……。」
" おねぇちゃん!"
" おねぇちゃんがいなきゃヤダ!"
" おねぇちゃんだいすき!!"
" おねぇちゃんずーっといっしょだよね?"
目を閉じれば鮮明に見える顔。
聞こえる声。
" おねぇ…ちゃ……ん…ごめ…ん…ねぇ…?"
バキッ!!
『…………チッ…。』
忘れられない光景を思い出し、
力を入れ過ぎて箸を折ってしまった。
まだおかずが残っているが
食欲がなくなり、そのまま片付ける。
『…行くか。』
公園の出口で立ち止まり後ろを振り向く。
賑やかだった公園には誰も居ない。
それに何故か寂しいと感じ、
慌ててフードを被る。
私の感情を隠して閉じ込めて欲しかったから。