双姫 Ⅰ
類side
女が俺に触れる。
そう思った瞬間、
後ろに思いっきり引っ張られた。
「うわっ!?」
突然の事で女達もビックリしている。
慌てて顔を上げるとそこに居たのは
「蒼翔…?」
『んな所で何やってんだよ!行くぞ!!』
ずっと探してた蒼翔が居た。
蒼翔は俺の腕を掴んだまま走り出す。
「あ、蒼翔!!信号点滅してるよ!?」
『んなの知るか!
女に捕まりたくなきゃ死ぬ気で走れ!!』
後ろを見ると
さっきの女達が走って追い掛けて来る。
『分かったら走れ!』
俺はただ懸命に足を動かす。
そして、どうにか渡り切る事が出来た。
「あ、ありがと…蒼翔。」
『……。』
やっぱり話してくれない…。
『じゃあな、俺は行く。』
「待って!」
咄嗟に蒼翔の腕を掴もうとすると、
パンッ!
「イッ!!」
蒼翔に振り払われた。
『…俺に触るな。』
「ご、ごめん…そうだったね……。」
ズキン…ズキン……
そういえば右腕に痣が出来てるんだった…。
蒼翔に知られたくなくて必死に笑おうとするが
引き攣って苦笑いになってしまう。
『…腕、どうした。』
「え…な、なんでもないよ?」
『嘘つくな。良いから見せろ!!』
蒼翔に気圧され、渋々右腕を突き出した。
類sideEND