双姫 Ⅰ


裾を捲り上げていくと


『んだよ…これ……。』


類の右腕は青黒い痣が出来、腫れ上がっていた。


『誰にヤラれた。』


自分でも知らずに低い声が出る。


「そ、それは…………。」


『他の族か?言え、誰がヤッた!!』


「その、蒼翔の………お兄さんに……。」


は?紘にぃ??


『お兄さんって…え、なんで知ってんの?』


「蒼翔が居なくなって探そうとしたんだけど
なんにも手掛かりが無くて…。

そしたら燐が二年に
「神崎 紘って先輩が居る」って。
関係あると思ってその人に会ったんだ。」


『……それで?
なんで痣が出来るような事になったんだ。』


「えっと「蒼翔に近付くな」って
「これは『神龍』からの忠告だ」って

その…返り討ちにされたんだ。」


『はぁ!?』


紘にぃバラしたの!?
あんなに騒ぎになるの嫌がってたのに?


「それでも「近付くなら『双覇』を潰す」とも
…言われた。」


『あっんのクソ野郎…。』


何やってんのよ。クソ兄貴!!


ここに居ない紘にぃに怒りを向けた。


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