Trick or Love?【短】
同僚の村上くんと森沙耶(もりさや)は部署内で公認のカップルで、長い間想い合った末に結ばれた二人は付き合って二年になる。
付き合うまでは周りがやきもきするほど焦れったかった二人だけど、恋人同士になってからは驚くほど落ち着いた関係を築いている。
もちろん二人にしかわからないこともあるのだろうけど、少なくとも沙耶の同期であり親友でもある私にはとても良好な関係に見えていた。
「あの二人は、長い間お互いを好きだったじゃない。原口くんも知ってるでしょ?」
「なに?時間の問題ってこと?」
責められたのかと思って口を噤むと、原口くんが呆れ混じりの微笑を零した。
「いいよ、はっきり言えよ」
私の気持ちを察したのか、彼は少しだけ体を離した。その距離の分だけ肩の力を抜くことができた私は、ようやく小さな深呼吸をする。
「時間がどうこうって言うより、原口くんが私を恋愛対象として見てるっていうのが信じられないの」
それから意を決して原口くんを真っ直ぐ見つめると、彼は不本意そうにしながらため息をついた。
「まぁ、そうだろうな」
まさか肯定して貰えるなんて思っていなかったから、見せられている表情から連想できる言葉とは違ったものに驚いた。ただ、原口くんは平然としていて、私が思っているよりもずっと冷静なのだと気付いた。
「でも、ちゃんと恋愛対象だよ。どう転んでも同僚っていう関係は変わらないんだから、それなりの覚悟で口説いてるつもりだ」
“口説いてる”という直接的な言葉に、改めてこの状況を理解する。
同時に、また心臓が大きく跳ね上がり、胸の奥が熱くなった。
付き合うまでは周りがやきもきするほど焦れったかった二人だけど、恋人同士になってからは驚くほど落ち着いた関係を築いている。
もちろん二人にしかわからないこともあるのだろうけど、少なくとも沙耶の同期であり親友でもある私にはとても良好な関係に見えていた。
「あの二人は、長い間お互いを好きだったじゃない。原口くんも知ってるでしょ?」
「なに?時間の問題ってこと?」
責められたのかと思って口を噤むと、原口くんが呆れ混じりの微笑を零した。
「いいよ、はっきり言えよ」
私の気持ちを察したのか、彼は少しだけ体を離した。その距離の分だけ肩の力を抜くことができた私は、ようやく小さな深呼吸をする。
「時間がどうこうって言うより、原口くんが私を恋愛対象として見てるっていうのが信じられないの」
それから意を決して原口くんを真っ直ぐ見つめると、彼は不本意そうにしながらため息をついた。
「まぁ、そうだろうな」
まさか肯定して貰えるなんて思っていなかったから、見せられている表情から連想できる言葉とは違ったものに驚いた。ただ、原口くんは平然としていて、私が思っているよりもずっと冷静なのだと気付いた。
「でも、ちゃんと恋愛対象だよ。どう転んでも同僚っていう関係は変わらないんだから、それなりの覚悟で口説いてるつもりだ」
“口説いてる”という直接的な言葉に、改めてこの状況を理解する。
同時に、また心臓が大きく跳ね上がり、胸の奥が熱くなった。