ずっと見守る
「廉太くん、あのね?」
「ん」
ごめんね。
目を見ながら言うことはできない。
あたしはうつむきながら続けた。
「あたし余命宣告受けたんだ」
「・・・・・・は?」
やっぱり、嫌いになったよね。
「長くて生きられるのは23歳までなの。えへへっ、こんな弱っちいの嫌だよね」
「23・・・・・・」
廉太くんが今、どんな顔してるのかわからない。
もしかしたら呆れて、嫌いになってるのかもしれない。
「もう10年もないんだ。ホント、ダメだよね」
「美咲!」
「うわっ!?」
廉太くんがあたしを抱きしめた。
すごく強く。でも少し、加減してる。
「言ったろ?俺は、美咲を特別扱いしないって。美咲を好きになれて幸せだって」
「うん」
「ずっと好きだから。美咲だけ見てるから。だから、俺を信じてっ・・・・・・」
泣いてるのかもしれない廉太くん。
言葉も途切れながらだけど、ちゃんと伝わったよ。
「俺と付き合ってください」
抱きしめられながらだけど、廉太くんの温もりと言葉に安心したんだ。
大丈夫かもって。
ねぇ神様・・・・・・?
あたし、この人と10年もないけど、幸せになっていいですか?
頑張って薬を飲んで、病気と闘うから。
「・・・・・・はいっ」
ちゃんと、返事できたよ。
またっ・・・・・・発作!
こんなときにっ・・・・・・!
「美咲っ!!しっかりしろ!!誰か呼んでくるから、待ってろ!!」
そこであたしの意識はプツリと切れた。