魔王vs神王→私!?
「あ~。その必要はねぇな。」
き、帰路が必要ない!?
それって、まさか、お前の命はここで終わるんだから必要ないってこと!?
「・・・・・なんか変な想像してねぇか?
まあ、説明するよりやった方が早いな」
ゲームオーバーも嫌だけど、命がゲームオーバーだって嫌だよ!!!!!
そんなことを考えていると、突然シオンさまが私を抱き上げた
・・・これは、お姫様抱っこというやつですか?
ついていかない頭で理解をした
しかし、次の事には、流石に頭はついていかなかった
「いくぞ、しっかりつかまってろよ!」
・・・・・空を、飛んでいる?????
いや、レンくんも飛んでいたよ?
しかし突然抱っこされて空を飛んで、なんて、む、無理だよ!
『や、やだやだやだやだっ!!高い高い!高いのきらいいいいっ!!!』
叫んだ私に驚いたらしく、シオンさまは一瞬体勢を崩した
一瞬の事だったのに、ひどく長く感じた
思わず両腕をシオンさまの首に回し、がしっとつかまった
涙で濡れた目元にシオンさまの頬がぶつかる
「・・・これくらいで泣くとか」
シオンさまは、馬鹿にしたように言った
『泣いてないです』
・・・思いの外、鼻声だったから自分でもこの言い訳が馬鹿らしい事だったと思う
絶え間なく足に風の妙な涼しさが感じられ、私の恐怖を掻き立てる
それにもかかわらず
「で?お前の家ってどこ」
こんなことを聞く
心優しい魔王なんかじゃないってことは、もうわかった。
真っ黒な翼を見つめながら私は呟いた
『さっきの大通りに行けばわかります』
だから、速く大通りに行って!!
一分一秒でも空を飛んでなんかいたくない
そんな心の叫びを聞きとってくれたのか
シオンさまは、方向転換をして進み始めた
と思ったら、すぐに止まった
『・・・?』
不思議に思っていると、目覚めて、一番最初に聞いた声が聞こえた
「シオン、どうかそのこをはなしてあげてください」