魔王vs神王→私!?
シオン様とレンくんは、同時に私を見て言った
その鬼気迫るような目に、少しだけ気圧される
『えっと~、私、私は、家に帰りたいです』
シオン様が、それがいい、と言うように頷いてくれた
坂の上の、真っ白な家
そもそも着替えだって家だし、窓からの眺めが最高に良かった
私の家に、帰りたい
むしろ、何があっても帰る
私が言うと、レンくんは、にっこり、満面の笑み
嫌な予感が、ほぼ確信に近い状態で生まれた
「それはむりですね!
ユーリならそういうと思って、あのいえ、こわしちゃいましたから!
いまからいっても、なにものこっていませんよ」
『こ・・・壊した・・・』
絶望と言っても過言ではない感情が生まれた
選択肢が、城しかないの?
え、ちょっと、なんていうか、理不尽の極み!!
お風呂とかがない簡易的な造りだったのって、そういう理由だったりするの!?
「はい。というわけで、えらんで、いいえ、いってください!
ぼくといっしょのへやでくらすんだって!」
選ぶ余地さえないんですね
そうですか
あ、なんだか、帰りたい。
「レンの部屋になんて行くな!
何されるかわかんねぇ!!」
シオン様が、必死の形相で叫んだ
それに対して、レンくんは少年らしい無垢な笑顔を浮かべながら言う
「なんにもしませんよ~!ただ、おなじベッドで、くっついてねるだけですから~」
「そんな笑顔に騙されるなよユーリ!
こいつ、笑顔の下に隠したどす黒いの曝け出すとマジでやべーから!!!」
余裕たっぷりのレンくんは、シオン様を弄んでいるかのようにも見えた
客間か、レンくんの部屋か
もちろん客間がいい
一人になれる空間というのはとても大事である
そんな私の心中を感じ取ったのか。
レンくんは、泣きそうな目をしながら叫んだ
「もーーーーー!!ユーリは、ぼくのへやなんです!
けっていじこうなんです!いろんはみとめません!!」
「はあああああああああああ!!??待て待て待て、おかしいだろ!!」
「やぁです!ぜっっっったいに、ユーリといっしょにおふろはいるんですぅ!!」
・・・お風呂、ですか。
「はぁぁぁあああ!?風呂ぉ!?
ついに本性曝け出したなこのやろぉ!!!」
やいやい、やいやい。
私の意見など通らない、会話
もう、諦める事にします(笑)
シオン様、きっとこれ以上何を言っても無駄ですよ
静かだった部屋は、召使いさんが食事が出来たと呼びに来るまで
騒がしいものでした
どっと、疲れました。