魔王vs神王→私!?




 シオン様とレンくんは、同時に私を見て言った





 その鬼気迫るような目に、少しだけ気圧される







 『えっと~、私、私は、家に帰りたいです』







 シオン様が、それがいい、と言うように頷いてくれた







 坂の上の、真っ白な家






 そもそも着替えだって家だし、窓からの眺めが最高に良かった







 私の家に、帰りたい





 むしろ、何があっても帰る






 私が言うと、レンくんは、にっこり、満面の笑み






 嫌な予感が、ほぼ確信に近い状態で生まれた





 「それはむりですね!
 ユーリならそういうと思って、あのいえ、こわしちゃいましたから!

 いまからいっても、なにものこっていませんよ」




 『こ・・・壊した・・・』






 絶望と言っても過言ではない感情が生まれた





 選択肢が、城しかないの?





 え、ちょっと、なんていうか、理不尽の極み!!






 お風呂とかがない簡易的な造りだったのって、そういう理由だったりするの!?







 「はい。というわけで、えらんで、いいえ、いってください!
 ぼくといっしょのへやでくらすんだって!」







 選ぶ余地さえないんですね




 そうですか




 あ、なんだか、帰りたい。







 「レンの部屋になんて行くな!
 何されるかわかんねぇ!!」





 シオン様が、必死の形相で叫んだ





 それに対して、レンくんは少年らしい無垢な笑顔を浮かべながら言う





 「なんにもしませんよ~!ただ、おなじベッドで、くっついてねるだけですから~」






 「そんな笑顔に騙されるなよユーリ!
 こいつ、笑顔の下に隠したどす黒いの曝け出すとマジでやべーから!!!」






 余裕たっぷりのレンくんは、シオン様を弄んでいるかのようにも見えた







 客間か、レンくんの部屋か





 もちろん客間がいい





 一人になれる空間というのはとても大事である








 そんな私の心中を感じ取ったのか。


 レンくんは、泣きそうな目をしながら叫んだ






 「もーーーーー!!ユーリは、ぼくのへやなんです!
 けっていじこうなんです!いろんはみとめません!!」






 「はあああああああああああ!!??待て待て待て、おかしいだろ!!」








 「やぁです!ぜっっっったいに、ユーリといっしょにおふろはいるんですぅ!!」





 ・・・お風呂、ですか。






 「はぁぁぁあああ!?風呂ぉ!?
 ついに本性曝け出したなこのやろぉ!!!」






 やいやい、やいやい。




 
 私の意見など通らない、会話





 もう、諦める事にします(笑)





 シオン様、きっとこれ以上何を言っても無駄ですよ





 静かだった部屋は、召使いさんが食事が出来たと呼びに来るまで
騒がしいものでした






 どっと、疲れました。







 
< 192 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop