魔王vs神王→私!?


 「シオン、まえもいいましたよね?
 ユーリをつれてきたのはぼくなんです

 あんまりかってをしないでくださいよ、うっとうしい」







 いつの間にそこにいたのか






 レンくんはドアにもたれかかっていた






 「・・・あぁ、わかってる」






 シオン様が、私を抱きしめていた腕をほどき、後ろに下がった







 「そう、それでいい。シオンは、何も手出しをしない約束だったでしょう?」






 そう冷たく言い放つと、レンくんは私を抱き寄せた






 
 「だってシオンには、ユーリをつれてくることなんてできなかったんですから。

 ・・・ね?これがだれのおかげか、わかっているのでしょう?」





 
 シオン様は俯いていて、表情を窺うことができない







 でも、ひどく悲しげだった






 「レンのおかげ、分かってる。
 でも、俺がユーリにした勝手な行動くらい謝ったっていいじゃんか」








 「へえ~、シオンのあやまるは、だきしめるってことなんですか?
 それははじめてしりましたよ」








 もう、話にならない

 



 そんな風な仕草をしながら、レンくんは私の腰に手を回したまま、部屋を後にした





 シオン様は、俯いたままだった



















 客間から出た廊下





 私とレンくんは、相変わらずぴったりとくっついて歩いていた




 『レンくん、あの・・・レンくんはシオン様よりも強いの?』





 ようやくおぼろげに憶え始めた道順からして、レンくんは自室に帰るのだろう







 そんなことを頭の隅で考えながら、私はすぐ横を歩くレンくんを見上げて言った






 レンくんは、自慢げに笑いながら言う





 「そうですよ!しんおうのほうが、まおうよりもずっとずっとすごいんです!

 まおうだけができることもありますが、しんおうのほうがたくさんのすごいことができるんですから!!」




 神王と、魔王だけにできること





 明日の資料庫で調べることは、決まった






 遠回りかもしれないけど、きっと記憶に辿り着ける






 自由に、なれる






 ・・・自由に、なぜだか私は惹かれる






 どうしてだろうか







 それも、きっと記憶を取り戻せば、わかるはず






 湖のこと



 神王と魔王のこと






 もっと頑張って、調べなくっちゃ





 




 その日のトランプゲームは、考え事をしすぎて負け続きだった
 






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