魔王vs神王→私!?
ちらり、私を一瞥すると、また前を向いた
「・・・さあな。お前は特例だからわかんねぇ」
『特例・・・?それって、』
どういうことですか?
言おうと思ったけれど、やめた
もう何も語らない
見上げた顔は、そう主張していたから
ー魔王の城ー
魔界は、天界とは全然違っている
城を見て、つくづくそう思った
『すごい・・・』
思わず感嘆の溜め息が出そうになる広さの、古き良き日本の屋敷
教会のようにステンドグラスが張り巡らされていた天界の城とは、違った良さがある
「まあ、魔界の中でもこんな風な装飾をほどこした建物は少ない。
城と、一部の趣味の者たちだけだな」
『そうなんですね・・・』
敷地内に入ると、大勢の、着物を着た使用人さんが出迎えてくれた
「お早いのですね、もう対談はお済なのですか」
「お疲れ様でございました」
「何か口に入れますか?それともお休みになられますか?」
いたわりの言葉をかけながらも、彼らの視線は私に向けられていた
・・・容赦のない視線
この者は誰なのですか?
問う者こそいないが、興味津々、と言った感じだ
天界では、皆にっこりと出迎えてくれた
そちらの方が、私に合っている。そう思った
シオン様は微笑みながら対応する
「あぁ、まだ終わってはいないんだが少しの間だけ帰ってきたんだ。
何も必要はない。少し歩くだけだからな」
それは、きっと何気ない言葉
しかし私は、王の貫録を感じた
「さようでございますか。それでは失礼いたします」
王の言葉に皆一礼して去っていった
それを見届けたところでシオン様は言う
「・・・行くか。魔の湖に」
魔の、湖・・・?
きっとそれは、私がこの前見た資料に載っていた、天界か魔界かを見極めるための湖なのだろう
一人で考えていると、シオン様が私の手を引いた
「暗いから、足元気をつけろよ」
そう言いながら城の中へと入るようにうながす
私は軽く頷き、シオン様の手をきゅっと握った