魔王vs神王→私!?




 ・・・そう、私が死んだのは、奏くんの誕生日だった







 -奏の部屋ー




 『・・・奏くん、お誕生日おめでとう』








 「ありがとうございます。憶えていてくれたんですね」








 部屋に閉じ込められて、もう三年の年月が経ってしまっていた









 最初のうちは痛くてたまらなかった首輪も足枷も、慣れきってしまっていて







 同じく最初のうちは恥ずかしくてたまらなかった黒のミニドレスにも、違和感を感じなくなってしまっていた







 
 そんな中私は、カレンダーも電子機器もないこの部屋で一人、ひたすらに紙とペンで日にちを知ろうとしていた








 奏くんは私の誕生日を祝ってくれる









 その日付から、大体の日付を割り出すことを、飽きもせずにやっていた






 他にやることがなかったから









 『うん、ちゃんと、憶えていたよ
 奏くんも、もう成人なんだね』








 
 機嫌をとって、平穏に、ただただ私が刃物を握らずとも良いように









 逃げるなんて選択肢は、なかった








 逃げても、父が奏くんによって殺された今、誰にも頼れる相手などいない








 生きていたとしても、私を、奏くんのいるあの家に留まらせた父なんて、もう信用できない








 「成人かぁ、そんなことはどうだっていいんですよね。
 それよりも結利先輩、僕と一緒にお酒、飲みましょう?」










 ワインと二人分のグラスをどこからともなく取り出し、奏くんは押し付けるようにして私にワイングラスを持たせた








 私はお酒が苦手








 父がよく飲んでいたから








 それを、奏くんも知っているはずなのに・・・








 「ええ、知っていますよ、結莉先輩はお酒が嫌いなんですよね?

 結莉先輩が嫌がるのに強要するのは、僕も嫌なんです

 だから・・・結莉先輩は、僕に誕生日プレゼントをください」









 奏くんは、最早、寸分の狂いもなく私の考えている事を読めるようになってしまっていた








 だから私が今、いぶかしんでいることにも気づいてくれたようで補足説明を入れてくれた








 「僕は、貴女の血が飲みたいんです」









 
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