魔王vs神王→私!?


 『え・・・・・・?』








 血?








 あまりにも唐突すぎてフリーズした脳は、役に立たない








 頼るべきは、本能。








 そしてその本能が、今すぐ逃げろと危険信号を発していた









 冷や汗が、背中を伝っていく








 目の前にいるこの人は・・・危ない!









 逃げなければ。そう思ってタイミングを見計らっていると








 奏くんが、笑った








 「ふふふ、逃げられませんよ?
 何のための首輪だと思っているんです?

 逃がさないために、決まっているじゃないですか」









 そう言う奏くんの手には、おなじみのカッターナイフ








 保健室で、好きだと嘘を吐いてしまったときを始めとして、何回も何回も、いろんな場所で私はそれを握ってきた









 体が、震えた







 「結莉先輩、好きって、どんな感情なんでしょうか?

 僕は結莉先輩に対して、最近ずっと、美味しそうだな、って思っていたんです


 これは、僕が結莉先輩の事を好いているってことの表れなんですよ。」







 照れたように笑う奏くん




 



 私は、笑えなかった







 私の心中を気づいていながらも、奏くんは続けた







 「それはわかるんです

 でも・・・好きだから守るっていうのは、理解できません

 好きならば、壊してしまえ、って、思います」









 ・・・壊す?






 私も、奏くんに壊されてしまうの?






 


 首筋に迫りくるカッターナイフを見つめながら、私は恐怖した






 「だって、壊れたものって綺麗でしょう?
 不完全なものにこそ、美は宿る

 綺麗なものは、壊れてこそ、その本質が見えてくるんですよ
 ・・・だからこそ、壊したくなるんです
 
 綺麗な結莉先輩は、壊れたら、もっと綺麗になりますよ」









 そしてついに刃が、突き立てられた





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