魔王vs神王→私!?
痛みにすくむ私を余所に、奏くんは歓声をあげた
「すごい、溢れだしてきた・・・!
結莉先輩、まずはそのままいただきますね」
奏くんの舌が、首筋を這う
生温かい血と舌は、不快感以外の何物でもない
痛み、不快感、恐怖、悲しみ、絶望
生をこれほど妬んだ事は、一度もなかった。
私は、ひたすらに目を閉じて、終わるのをじっと待った
少しすると、奏くんの舌が首筋から離れた
終わったのだと思い安堵していると、また別の感触のものが押し付けられ始めた
何事かと思って目を薄く開けると、奏くんは喜々として、ワイングラスを傷口にあてて、血を溜めていた
次第に溜まっていく血液
ある程度までたまると、奏くんは零れたものを舐めとりながらそっとグラスをどかした
そのワイングラスに、彼の手にあったボトルから、ワインが注がれる
一見すると綺麗な色
でも私には、吐き気を催すもので・・・。
両手を口元にあて、せりあがってくるものをおさえこむ
必死で嘔吐すまいと努力する私に、奏くんはさらり、と言った
「ふふふ、それじゃあ、いただきますね」
ゆっくりと、飲み下されていく、ワイン
目を背けたいのに、体は言う事を聞いてくれなかった
「ふふふふふ、良い、良いですね、美味しいです。
やっぱり僕は正しかった」
安心したように、楽しそうに、奏くんは笑う
「人生最高の誕生日プレゼントでしたよ」
『・・・・・・・・』
なんとか私も笑い、頷いた
この首の傷は、きっと奏くんが包帯を巻いてくれる
もう、大丈夫
そう、信じようとしていたのに
奏くんは、わかっていながら、私を裏切った