魔王vs神王→私!?




 「結莉先輩、僕、お願いがあります


 ずっと僕のために、僕の中で生き続けてください」








 僕の、中で・・・・・・・?








 それは、つまり







 『全部、飲むの・・・?』








 掠れた声でしか紡げなかった







 あまりにも、ひどすぎて・・・







 かたかたと震える体








 思わずきゅっとスカートを握りしめた








 その時







 カシャンと音がして、首輪が取れた








 「さあ、行きましょう。
 僕の願いは、ここでは叶えられませんからね」








 奏くんは続いて足枷にもカギを差し込み、外した








 久しぶりに体感する、自由






 それは、私がずっと切望していたものだった







 「ほら、立てますか?」








 奏くんは、手を差し伸べてくれた






 その手をとって、私は立ち上がった








 震えはもう、おさまっていた







 『奏くん・・・どこに行くの?』




 「内緒です」



 じゃらじゃらについたドアの鎖も解かれ、カギが開けられる







 ドアが、開かれた





 
 そこは、久しぶりに見る、黒以外の色があった







 クリーム色の壁、白いシャンデリア、窓の、外







 久しぶりに見た空の色は、鮮やかな夕日で







 涙が、溢れた






 奏くんはそんな私を見て不機嫌そうに、そして悲しそうに言った






 「黒以外の色は、嫌いです。
 何色にだって混ざらない黒がいい。
 結莉先輩、貴女も黒になりましょうよ」





 言い終わるがはやいか、奏くんは急に私の手をぐっと引いた




 対応できずに体勢を崩し、奏くんに抱き止められる







 それは、狙ったかのように思えた







 「まだ黒に染まりきれてなかったのは、知っていましたけどね」









 そして奏くんは私を横抱きにして地下室へと続く階段を下りていった






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