魔王vs神王→私!?
たくさんの蝋燭がつき、見えなかった広い広い地下室の全貌が明らかになる
横抱きにされたままの私は息さえも忘れ、部屋の中央に置かれたものに見入った
巨大な、水槽・・・?
「違いますよ、ワインセラーです
父様のものなんですよ」
奏くんは薄く笑い、教えてくれた
2メートルほどの高さの、ガラス製のワインセラーの中には、紫色のワインが溢れんばかりに溜めてあり、こぽこぽと音をたてている
『すごい、ね・・・。奏くんのお父様は、お酒が好きだったんだ・・・』
私の父と、一緒だね。
頭をかすめた父の事を意識の底へ押しやり、目の前の物に視線を再度向けた
『・・・それで・・・奏くんのお願いって言うのは、何なの?』
これを全部飲み終わるまで付き合えって言うの・・・?
あきらかに雲行きが不穏なワインセラーは、不思議と見ていて飽きなかった
「ふふふ・・・まあ、じきにわかりますよ」
意味深な笑み
横抱きには、逃がさないようにという役割があったのではないのかと疑ってしまう
奏くんは地下室内の階段を上がり、ワインセラーを上から見下ろせる場所に来た
ガラスは思いのほか厚く、液体が大量に溜めることができる事が出来る理由が分かった気がした
『・・・綺麗な紫だね』
素直な感想を言うと奏くんは、結莉先輩は紫色が好きですからね、と言って笑った
そして
私を、ワインセラーに落とした