魔王vs神王→私!?
「「ユーリっ!!!」」
シオン様とカナデくんの声が同時に聞こえた
既に廊下に出て走っていた私たちにでさえうるさいくらいに聞こえたのだから、
きっと実際は大声で呼んでいたはず
『レンくん、カナデくん怒ってたよ?
大丈夫なの?ねえ、レンくんってば!!』
心配になって何度も聞いていると、レンくんは叫んだ
「ユーリはだまっていてくださいよ!
それとも、またカナデにとらわれて、いじょうなまでの、あいをうけとりつづけるの!?
また、じゆうをうしなうんですよ!?
みたでしょう?シオンのあきらめきったかお
こんどはシオンはたすけてくれませんよ!?」
凄い形相に圧されて呆けていた私は、少し遅れてからしか気付けなかった
・・・今度は?
『今度は、って・・・
前にもシオン様は私をカナデくんから助け出してくれた事があるの?』
まったくもって身に覚えがない
全ての記憶を取り戻したと思ったのに、まだ全部ではなかったということか
「ええ・・・ユーリは、みずから、いのちをたつまえにも、いちどしんでいるんです。
カナデによって、どくをのまされて。
おぼえていませんか?
むらさきいろのつつみにはいった、ぶどうあじのキャンディのこと」
紫色の包み?ぶどう味のキャンディ?
・・・・・・・・・・
思い、出した。
霞んでいく世界の中で、愛されている事に安心して、その死を受け入れたんだ
父がいなくても、奏くんがいるからいいって、思って・・・
考え込みかけた私を、レンくんは握る手の力を強めて戻した
「シオンはじかんをまきもどして、ユーリの
Merry Dead End
をなかったことにしました
ですが、けっきょく、カナデはにかいめも、
Happy End
にはしてくれませんでした
シオンは、しんおうの、ちいをカナデにゆずってまで、ユーリのしあわせをねがったのに
いいですか、ユーリ
かつて、このてんかいをおさめていたのは、シオンなのです」
私の時間を繰り返すために、神王の地位をカナデくんに?
走り続けているからか、理解が追いつかない
オウム返しにすると、レンくんは頷いた
「じかんをゆがめることは、まおうにしかできませんが・・・
まえにもいいましたが、しんおうのほうがいろんなことができます
カナデは、かねてから、しんおうになりたがっていました
だからぼくは、そのじょうけんで、しょうだくしたのです
ユーリのじかんを、まきもどすことを
ユーリ、貴女はその前にも・・・」