魔王vs神王→私!?




ー廊下ー




うしろで結んでいた髪が、ぐっと引っ張られました







引かれるままに後ろに倒れこむと、蔑むかの様な目でぼくを見ているカナデと目が合いました






「レン・・・よくも、勝手な事をしてくれましたね・・・

ユーリは、僕に依存する予定だったのに・・・」





ぎりっと歯軋りをして、カナデは怒りを露わにしています







ですが、ここで潔く身を引く訳にはいきません







だってどうせ、主の意思に背いたぼくは、消される運命なのです






ならば、最期まで大好きなユーリを守ることに徹しましょう





「カナデは間違っています!
ユーリが望んだのは、そんな愛じゃない!!

それをカナデが一番良くわかっているはずなのに、どうしてそうまでして認めないのですか!?」







実際にユーリと過ごせたのは、たったの数日間







それでも、そんなぼくにもわかりました







彼女が欲していたのは、言葉の要らぬ、愛なのだと








「愛しているって言葉が欲しかったんじゃない!

ユーリは、彼女の父とは築けなかった、信用できる、裏切らない愛が欲しかったんですよ!!

ユーリは、真実の愛で満ちた、過ごしやすい、自由で和やかな空間を欲しがったんですよ!?

なのに、カナデはあげなかった!!!」






掴まれた髪の毛は、はらはらと抜け落ちていった






痛い。けど、ユーリを救いたい!





きっとカナデを睨みつけて、ぼくはまた続けました




「カナデは自分の都合がいい空間を、ユーリに押し付けてばかりで!

手枷と足枷がはめられたその狭い世界で、ユーリは何を思ったのでしょうか!?

こんなのが欲しかったんじゃない

こんなのは私が求めた自由じゃない

そう思ったはずなのに、ユーリは言葉にしなかった!

表面意識からも、その意思を取り除いた!!」







カナデの顔に焦燥の色が浮かんだのを、ぼくは見ました








カナデは、とても弱い人。






そんなカナデのことだから、きっと考えないようにしていたのでしょう








でも、それでは、ユーリはまたカナデに囚われる








・・・・・カナデ、もうそろそろわかってください。






貴方は、間違っているのですよ









「カナデは気付いているのでしょう?

ユーリが、無理をして貴方に笑っていた事

ユーリが、無理をして貴方と一緒にいた事

ユーリが、無理をして口答えしなかった事

ユーリが、無理をして感情を書き変えた事

カナデは気付いているのでしょう!?」







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