魔王vs神王→私!?
「だまれぇぇぇぇぇええええッッ!!!!!」
激昂したカナデが、ぼくを突き飛ばしました
床に倒れこんだぼくに、カナデの呪術が襲いかかります
カナデは、元魔王
呪術は得意ですから、やろうと思えばすぐに殺せたはず
それなのにこうやってじわじわと首を絞めているということは、結論はただ一つ
ぼくが苦しむ姿を、見たかったのです
「ふ、ふふふふふ、僕の分身(コピー)の分際で、よくもそんな口が聞けたものですね
もう、舌足らずで純真無垢な少年神の真似事はやめたのですか?
まったく驚きましたよ、お前は僕が作った、僕の代用品のカミサマなのに、しっかりとココロを持っていたとは、ね。」
うっすらと汗ばんだ額を手で拭って、カナデは言いました
息ができるかできないかの瀬戸際を行き来するこの呪術は、ぼくの命を無いものにしようと、舌舐めずりしているようにも思えます
「ぼくが・・・カナデの分身、だからこそ・・・
カナデの、考えて、いる事が・・・分かっちゃうんですよ・・・」
ぼくが笑ってみせると、カナデは面白くなさげでした
「レンは、僕(カナデ)。
つまり、こちらからも当然、レンの考えている事は、手に取るようにわかります
わざと舌足らずなふりをして、カナデの声と同じ自分の声を違っているかのように聞かせたり、
同じである行動パターンだって、出来る限り違っているかのように見せる努力をしたり
ユーリが神代奏のことを思い出さぬように、レンが頑張っていた事は知っています
僕が≪結莉酒≫を堪能している間も、その情報はずっと僕の頭の中に入ってきていましたからね」
ぼくを見ながらも、どこか別の場所を見ているカナデは、呟きました
寂しげに瞳を揺らし、眉を八の時に下げているカナデ
その心中は、ぼくがまだ知らない感情が占めていました
「でも、それは当然のことですよね。
だって、僕が結莉の世界にいるとき、王の座に就かせるためにレンを作ったんですから
努力するのは、当然のことですよ
・・・まあ、本当は、ユーリを連れ去って、すぐに戻ってくる予定ではあったんですけど。
なぜかカナデの記憶が消えてしまって、手間取ったんですよ
・・・・・・そこだけは謝っておきます」
あ、謝る、ですか?
主であるカナデが、下僕のぼくに??
「か、カナデ・・・・?」
もしかして、改心してくれたのではないか
そんな期待が胸をよぎりました