魔王vs神王→私!?
「カナデは・・・死人を生き返らせることが、できたよな?」
しばしの沈黙の果て
シオンが口に出した言葉は、やはり少女の事
カナデは、シオンの人格にだんだん苛立ちが募ってきていた
「えぇ・・・魔王は邪道と呼ばれる術は、大概こなします」
「なら、この娘を生き返らせることも容易だろ?
・・・俺はこの娘が、可哀想でたまらないんだ」
憐憫の目
憐れんでいるはずなのに、不思議と真摯の色が滲んでいた
「カナデ、俺に出来る事ならなんでもする
だから、頼む・・・救ってやってくれないか」
カナデは、冷めた紅茶を口に含む
シオンが鉄の意思の持ち主だと、カナデは知っていた
しかし、死人を生き返らせるのには、魔王と言えどもタダではいかない
苦痛を伴うタブーなのだと、神王だってわかっているはずだ
だからこそ、出来る事ならなんでもする、と言ったのだろう
そこまでは、カナデにもわかった
しかし、なぜにそんなにも、たかが一人の小娘に執着するのかは、そうしても理解できなかった
「シオン、考え直せないのですか?
いや、出来ないということはわかっているんですけど・・・
だって、苦しんでいるのはその娘だけではないのですよ?
ずるいって、人間は激昂します」
カナデは最早、子の非行を止める親に似た気持ちでいた
なんとかして、分かってもらいたい
その一心で、シオンの目を見て話し続けた
しかし、やはり言葉はシオンに届かない
「カナデ、俺が魔王になって娘を救う・・・ってのはどうだ?」
ついには、こんなことまでほざいた