魔王vs神王→私!?





「シオン!!!」






耐えきれず、カナデは叫んだ







「魔王になるなんて、簡単に言わないで下さいよ!!

神王よりもずっとずっと嫌な役所なんです!

シオンは、そのままで・・・!!」






カナデの目からは涙が溢れだしていた








処理しきれない感情







シオンの優しさを受ける娘への羨望は、大きかった







「暗い感情をたらい回しにしてしまっては駄目なんです!

シオン!シオン!!わかってくださいよ、魔王になんてならないで!!」







「・・・カナデ」









シオンは困った顔で笑った







「シオンが魔王になったら・・・
陰口の対象がシオンになって・・・
一人で、湖とにらめっこなんですよ・・・?」







しゃくりあげながら、カナデは訴える






自分のせいで、シオンが不幸になるのは嫌だった







それと同時に、日々の自分がどれだけ嫌われているか口に出したことで、精神的に苦しくなってしまっていた





シオンは、泣いているカナデの額あたりに手を伸ばした





必死で涙を拭い続けるカナデは、自分の頭上にかざされた手に気付けない







「カナデ・・・心配ない。
カナデは、優しすぎて、損をしすぎている

大丈夫だ、そんなに泣くなよ。
・・・起きた時には、すべて終わっている」






カナデに急に襲ってきた眠気の正体






それは、シオンの術だった







「シオン・・・・ど、して・・」








必死の抵抗も虚しく、カナデの意識は落ちる








シオンはその細すぎる体を担ぎ、ソファに寝かせた









「神王のほうが・・・お前に似合ってるさ」








涙で濡れたカナデの頬に、ハンカチを押し付け








シオンは、王交代の魔法陣を呼びだした














< 230 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop