魔王vs神王→私!?



かくして、カナデは望まぬ形で幸せを手に入れた







美しい天界





優しい従者





変わらぬ優しさ






すべて魔界にはなかったものだった








しかし、突然闇の中から光に照らされたカナデは、彼らを信じることはできなかった








天界にあるものは、すべて綺麗だと保障されている








しかし、魔界で養われた疑心暗鬼の精神は簡単には抜けず








彼らを無意味に疑い、カナデの心は堕ちていった










魔王だったころのように黒で身を固め、仕事に没頭する毎日









天界は、カナデがこなした仕事によって、輝きを増した









そんな天界とは裏腹に、黒く淀んでいくカナデの瞳









シオンが天界を訪れたのは、そんなある日のことだった










元神王は、天界の街並みに驚愕した







花で溢れ、綺麗な建物が立ち並ぶその風景は、まさに天国







そしてその気持ちを素直にカナデに伝えるも、当の本人は書類から目を離さない








「シオン・・・用件をさっさと言って下さいよ。

仕事で忙しいんですよ、見てわかるでしょう?」





「あぁ、悪い。あまりにも変わっていたからつい、な。

・・・天界行きの人間が混ざっていたんだ」










すっと一枚の紙を差し出される








その紙をちらりと見やると、突然カナデは目を剥いた













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