魔王vs神王→私!?
「・・・・」
驚きすぎて、最早言葉も出ない
「どうだ?」
「ふざけないでください」
「・・・・・・」
怒気を込めて言うと、流石にシオンもだまった
「シオンは、この子が幸せになるのが望みなんでしょう?
・・・僕が現界に行って、娘の延命を図ってきます」
神王が現界に降りるのは、タブーとはされていない
シオンのことは好きではないが、まともに会話ができる、貴重な類の知人
無くすのは、惜しいものだった
「本当にか!?」
「ええ、条件付きですけどね」
カナデはこれ以上の体力消耗をなるべく避けるために、シオンが何か言おうとするのを遮った
シオンはシオンでそれが何を意味するのか分かったらしく、口元に手をあてた
「いつかこの娘が天界に来ても、
シオンは自分の気持ちを伝えない事。
あんまり関わらない事。
それが守れるのなら、僕は行ってきます」
大きく、大きくシオンは頷いて見せた
それを確認して、カナデは右手を床に対して平行に伸ばした
すると見る見るうちに、少年の姿が見えてきた
半透明だった体ははっきりとして、やがて、目を開けた
金髪碧眼の少年は、その視界にカナデの姿を捉えると、全てを悟った風に笑った
「お前の名前は・・・レン。
僕がいない間、天界を頼みましたよ」
カナデが言うと、レンと名付けられた少年は太陽のような笑顔で返事をした
神王の冠をレンにわたし、カナデは自らに術を使った
現界へ、少女の元へ
カナデと結莉の初めての出会いは、数分後のことである