魔王vs神王→私!?
第一印象は、意外にも良いものであった
「貴女の名前は?」
「双見結莉、です」
カナデは、騒がしいものが嫌いである
すると必然的に小さな子供も嫌いな訳なのだが、結莉は随分と従順だった
一筋縄ではいかぬと踏んでいたのに、拍子抜けである
しかし、従順なのなら、それで良い
そっちの方がずっと楽である
「おにぃちゃん・・・神様ですか?
私、死んじゃったんだ。よかったぁ、無事に死ぬことが出来て。天国に行けて」
にこりと笑って、こんなことを言いだすのだから、カナデは結莉の頭を疑った
「無事に、って・・・死にたかったんですか?」
「はい!父から、要らないって言われちゃったから、私は死ぬべきだったんです」
カナデは、自分の耳を疑い始めた
見る限りでは、この少女はまだ7、8歳
それにも関わらず、敬語が使え、訳のわからぬ悟りを開いているあたり、そんな年齢ではないはずだ
「うふふふ、神様、はやく私を天国に連れて行ってください」
わくわくとした様子で結莉は手を差し出す
カナデは、延命のために降り立ったのだと言えなくなってしまった
こんなにも嬉しそうなのだ、心も痛む
「私は、誰からも好かれていないし、必要とされていないし、存在を認められていないんです。
要らない、子なんです」
僅かに崩れた微笑み
しかしそれでも、笑おうと努力し、手を差し出し続けている
カナデは、その言葉に自分を重ねた
何かを思ってしたのではない
気付いたら目の前の小さな人の子と、カナデ自身を重ねて見ていた