魔王vs神王→私!?
「結莉も、誰からも見てもらえなかったの?」
声が震えるのがわかった
その痛みは、カナデがよく知っているもの
その痛みをこの小さな娘が、未完成な心で受け続け、耐え続けていたことを考えると
この少女を、守らなくてはと、強く思った
「はい。でもそれは私が悪いからなんです
私が駄目な子だから、みんな私が嫌なんです」
強がりは、弱さの裏返し
カナデは、結莉と自分が似ていると、感じた
だからこそ、言うのだ
自分が欲しかった言葉を
「結莉は・・・悪くなんてありませんよ
僕は結莉のこと好きですから、大丈夫。
安心していいんです」
普段からあまり笑いなどしないカナデの、不器用な笑顔
へたくそな笑い方だってことはカナデにもわかっていた
しかし、結莉は、保っていた表情を崩した
「神様は・・・私を必要としてくれるの・・・?」
流れ落ちる大粒の涙
それは、隠し通してきた少女の本心
結莉の涙を見て、カナデは思った
やはりこの子は、僕と同じだと。
「ええ、僕は結莉が好きなんですよ?
当然、必要です」
カナデは手をとった
その瞬間、結莉は声をあげて泣きだした
「・・・・・・もう安心ですね」
結莉を抱き上げ、カナデは天界への帰路を辿った
こんなにも近くに、温もりがあったことなどなかった
それ故、今、カナデの心は安堵と幸福で満ち満ちていた