魔王vs神王→私!?



「・・・・なに、勝手なこと、言っているんですか」






人をも殺せそうな、冷たい目







それを気にも留めず、シオン様は続けた








「俺はずっと、お前の幸せだけを願ってきた。
今でもその想いは変わらない!

だからこそ・・・カナデとユーリは一緒にいるべきではないと気付いた今、俺はお前をカナデから引き離す!!」








腰に回された手が、小刻みに震えている







カナデくんは顔を伏せ、目を大きく見開いていた








『シオン様、もう、やめてください・・・』







これ以上は、カナデくんが危ない







そうなると、私もシオン様も危なくなる







真横から感じる殺気は、シオン様が言葉を重ねる度に増していた








「カナデは、ユーリを傍に置くためなら、どんな手段も厭わない

・・・・レンが言っていた。

レンは・・・ユーリの自由を望んでいたんだ!
もしかしたら、俺よりも!!

ユーリ、分かってくれ!
カナデの隣にいる限り、自由はないんだよ!!!!」








ふつっと、突然殺気が途絶える







驚いて横に目をやると、そこには誰もいなかった









続いて聞こえる、シオン様の苦しそうな声









『・・・シオン様ッ!?!?』








視線をもとに戻す








するとそこには、カナデくんに首を絞められ苦しむシオン様がいた











「うるさいんですよ、シオン。
そもそもユーリと僕を会わせたのは、シオンですよね?

僕は最初、気にも留めていなかったんです

それなのにシオンは時間を戻せだとか、生き返らせてくれとか、やたらと僕とユーリとに接点を設けた


結果、僕は僕とよく似た人の子と相まみえてしまった

シオンが運命を捻じ曲げたんです

全部シオンのせいですよ!!」









シオン様は、カナデくんの手を解こうと必死になっていた








それにもかかわらず、手は緩めることさえできていない





私は、あまりの光景に立ちすくむことしかできずにいた






「あっははは、忘れてしまったの?
魔王よりも、神王の方がずっとずっといろんなことが出来るんです!

魔王であるシオンが、この僕に勝てるはずないじゃないですかぁ!!」










狂気的に嗤うカナデくん








くるっと後ろを振り返り、私を見つめた瞳には、きらきらとした輝きがあった










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