魔王vs神王→私!?
「今ここでシオンを殺せば、ユーリを僕だけのものにできるのかな
ふふふふ、想像するだけでぞくぞくします・・・」
『やめて、殺さないでッ!!!
お願いカナデくん、やめてよお!!!』
殺す
その単語に、私は声を絞り出して懇願した
二人に駆け寄って、ぐいぐいとカナデくんの腕を引く
びくともしないことなんかに、屈してはいけない
「お願い?・・・ユーリは、シオンが死ぬのが嫌なの?」
力を一切緩めず、カナデくんは首を傾げた
その様子に、私は絶望にも似た感情を抱いた
どうして?
『カナデくんは嫌じゃないの・・・?』
視界が歪む
人が居なくなるのに、どうしてそうも平気でいられるの?
優しくしてくれた、笑いあった、一緒に過ごした
私は・・・こういったことをしてくれる人を、一人でも減らしたくない
一人ぼっちになるのは、嫌だから
「う~ん、ユーリが嫌だって言うのなら止めます
僕は、貴女だけいればいい」
何度だって、その言葉を聞いた
聞き飽きるくらいに、聞いたよ
今なら、わかる
私とカナデくんは、歯車のように正しく噛み合うことは、ないんだってこと
カナデくんが望んだのは、私ひとりの存在からもらう、大きな愛
でも私が望んだのは、たくさんの人からの、大きな愛
わかりあうことはもう、できないんだと、わかっていた