魔王vs神王→私!?
「やめてくださいッッッ!!!!!」
カナデくんが叫ぶと同時に、ピシッと音をたてて、ステンドグラスにヒビが入った
「そんなことを考えないで!!
そんな、嫌ですよ、ねえ、ユーリ・・・」
ふるふると首を左右に振って、カナデくんは私に言った
「人のぬくもりを、愛の言葉を、切望していた・・・僕も、貴女も
同じことを、想っていた、欲していたのに」
すがるような笑み
私の方に伸ばされた手は、震えていた
「どうしてなの・・・?ねえ、どうして変わってしまったの?
ユーリは、いつから、そんな風になってしまっていたの?」
かつての私が、そこにはいる
カナデくん、貴方は昔の私
変化を恐れて、今のままでいたいと本気で思っている、心の弱いひと
私を変えてくれたのは、記憶を消してくれたシオン様と
本当の私を応援してくれたレンくん
貴方は、私が助けるよ
カナデくん、現実を見て
真実を、受け入れて
まっすぐに、カナデくんを見据える
次の瞬間、ステンドガラスが粉々になって降り注いできた
本棚に跳ね返り、光に反射し、ガラスはきらきらと落ちてきた
これはきっと、カナデくんの心
本当に綺麗な心なのに、私が汚してしまっていたんだね
破片は、上から私たちを襲い、たくさんの切り傷を作った
「ユ・・・ゥリ・・・・」
うわごとのように私の名前を呟く
彼の目にはついさっきまでの輝きはなかった
『カナデくん・・・こんなことしたくないって思っているんでしょう?」
「やだ・・・僕には、ユーリが必要なんです・・・
一人ぼっちはもう嫌だから・・・」
一人ぼっちは、嫌・・・
・・・やっぱりカナデくんは、私とそっくりだよ
わからず屋で、わがままで、保身的で。
気持ちが、すごくわかる
『カナデくん・・・・シオン様もレンくんも、カナデくんの近くにいたよ?』
「近くなんてありませんでした」
『そう思っていないだけだよ。
私よりも近くにいた』