魔王vs神王→私!?
全身が強張り、震えていた
心の中で、終わりを願い続ける
懇願は、やがてカナデくんに届き、ゆったりとした動作で距離が置かれた
「こうやって穢したかった
傷をつけたかった
悲しませたかった
涙が見たかったんです
でも、守るべき存在であるユーリにそんなこと、できるわけもなかった
ユーリはもう守らなくてもいいんですよね
ならもう、我慢をする必要もない
貴女の全てを、僕が支配します」
妖艶な表情
どこか嘲笑っているようにも見えた
____それは、どういうことなの・・・?
「相変わらずの理解能力ですね
・・・まあ、そこが愛おしいんですけれど。
貴女はシオンを助けたがっている
でも僕は、邪魔だから助けたくない
・・・支配ということは、僕の方が立場は上
ねだってみせないと」
ねだる・・・?
カナデくんに、私が。
シオン様を助けるために・・・?
助ける・・・
シオン様を、助けるために。
『カナデくん・・・シオン様を、助けてください』
跪いて、お願いをする
そんな私を見て、カナデくんは嘲った
「ふふふふふ、そんなことしなくたって、ユーリのお願いは、全部ききますよ」
きっと今カナデくんが抱いているのは、歪んだ幸福感
底知れぬ恐怖が私を襲った
カナデくんがシオン様の頭上に手をかざし、少しすると手を退けた
「・・・シオン、ほら、もう起き上がれるでしょう?
起き上がって、ユーリに平気だと伝えてください」
「・・・・・・ああ」
何事もなかったかのように起き上がり、シオン様は私に笑いかけてくれた
安堵から、私も笑い返す
その様子を見たカナデくんは言った
「ねえユーリ、これでいいですか?
満足したなら、僕からの命令も受けてください」
命令
その響きに、私は気後れしながらも言う
『う、ん・・・・何?』
「簡単な事ですよ?」
私の心中を察して、カナデくんは私の頭を撫でてくれた
でも、次に発された言葉は、最近強くなってきた私の精神さえも、フリーズさせるには充分だった