魔王vs神王→私!?
「シオンだって嫌な事は全て消えてほしい・・・そう思うでしょう?」
ゆらり、一歩を踏み出す
その切っ先は、依然としてシオン様を向いたままで
私は、どう行動すべきか決めかねていた
「お前が変わらないことには、お前を取り巻く環境は何一つ変わりゃしねぇよ」
「僕は知っています。周りが変わらないのに、自分だけが変わったって、どうにもならないことを」
「は・・・どの口が言うよ。
カナデはしたつもりになっているだけの、自己陶酔野郎だ」
一秒、また一秒
秒針が進むにつれて、カナデくんは泣きそうになっていく
何を、思っているのかなんて・・・
私にはわからない
「・・・いいじゃないですか。自己満足で。
そういう慈善活動、迷惑です」
俯き、また一歩
歩みを進め、また悲しそうな顔に。
・・・・・・わかっているんだよね
やぱり、カナデくんはもうわかっているんだ
自分がしている行動の、理不尽さを
私の、本心を
それなのに改めようとしないのは何故?
いつのことだったかな
コウくんを蹴り飛ばしながら、カナデくんは泣いていた
自分がしていることを、自分で止めたがっていた
でも、制御できなくて、やめられなかった
今もそうだとしたら?
カナデくんは私を守ると言っているけれど
本当は、守ってほしいのだとしたら?
何回も繰り返し言われた
カナデくんと私は似ているのだと
ならば、私にもカナデくんの考えは読めるはず
ねえ、カナデくん
私は、貴方を守ってみせる