魔王vs神王→私!?



奏くんの真っ暗な部屋で、彼にしたように








私は、カナデくんを抱きしめた








途端に強張る、カナデくんの体






拒絶か、甘受か







私には、後者のように思えた









「・・・・・・どうしたの?
僕がユーリにかまってあげられてないから、寂しくなっちゃった?」








泣きそうな顔のまま、へにゃりと笑う







ある偉い人は言った






強がりは、弱さの裏返しだと







弱い弱い、カナデくん








『貴方の本当の望みは何・・・?』









心の底で願っていることは、何・・・?







カナデくんと私は、根本的な考え方が違うのだと








一人合点してしまっていた私を、許してね







ずっとカナデくんは私に言ってくれていたのに








私とカナデくんは似ているって。







それは、私が欲しがっているものは、カナデくんも欲しているということ








たくさんの人からの、たくさんの愛がほしかったということ










「・・・・・そんなことを思って。
ユーリは、僕にめちゃくちゃにされたがっているの?」









ぐいっと顔を近づけ、カナデくんは言う









「そんなの、ぜんぜん僕の考えから外れています」







『・・・・嘘は、私も得意なんだよ

平気な素振りをして、天愛もコウくんも、みんな騙していた

でも、私は父のことでいつも気が狂いそうだった』







かつての自分を思い出すと、なんて可哀想な人間だったんだと。







いまでは思う







『私とよく似たカナデくんも、実は嘘が得意なんじゃない?』









眼をしっかりと見て、カナデくんに問いかける









カナデくんは、眼を、逸らした











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