魔王vs神王→私!?
しかし、それも一瞬のこと
再び合った目には、優しさが宿っていた
「・・・・・・嘘を吐くなと言うのなら、言いますよ?
聞かなければよかったなんて、言わないで下さいね
・・・・・僕のために、死んでほしいです」
次の瞬間、目の前にナイフが迫ってきていた
その僅かの間に、刃物はどろりと溶け、銃へと姿を変えた
そして、喉元に突きつけられる銃口
にこりとカナデくんは笑い、撃鉄を起こし
引き金を引いた
初めて聞く銃声は、まるでオモチャのような音で
こんな音なのかという暢気な考えは、痛みに飲み込まれる
熱い
熱くて、痛い
「ユーリ、痛みは殆ど全部、僕が引き受けました、から・・・
ユーリはあまり痛くないでしょう?」
いつの間にか床に叩きつけられていた私
カナデくんの声は頭上から降ってきた
続いて、シオン様の激昂した声
「カナデッ!!!!!!
なんてことを・・・ここは現界じゃないんだぞ!?
ここで死んだら・・・死後の世界で死んだら、もう魂ごと消滅するんだぞ!?!?」
「いいじゃないですか・・・僕たちは、死の向こう側でずっと一緒に過ごすんですよ」
そう言うカナデくんの声は喜々としていた
じわじわとにじり寄ってくる死に恐怖のせいで、私はその言葉の意味を理解できていなかったが、聞こえてきた銃声は、意味を嫌でも分からせた
_________________無理心中。
どさり、近くでカナデくんが倒れたであろう音がする
私の仕組まれた物語は、ここで幕を閉じるのかな
そう思うと、無性に泣きたくなった
一筋、涙が零れ落ちる感覚
それと共に、私の意識は深く、堕ちていった