魔王vs神王→私!?
ユーリは、意識を失ってしまったようだった
急所は外しておいたから、シオンに手当てを任せれば数日で目を覚ますだろう
僕は、痛みと戦いながら、未だここにいた
「シオン・・・ユーリのこと、頼みますよ」
「何言ってんだよ!!!!そう言うくらいなら、自分でユーリ守ればいいだろ!?
・・・・なんてな。もう演技なんて必要ねぇよ」
本性を現し、卑屈に笑うシオンを突き飛ばし、僕は愛しいユーリの傍へ
その形の良い頬には、涙が一筋
・・・・痛みで気を失いかけているから、貴女の心を読む余裕がなくて、何を思っていたのか分からなかったんですよ
今からこの存在ごと消滅する僕に、何か一言欲しかったのに
それこそ罵詈雑言でも、受け入れるのに
「僕は、悪役のままでいいんですよ
・・・・・・なんだかとんとん拍子に進みすぎちゃったかな
ですが、シナリオ通りですから良いでしょう?
シナリオライター、シオン
ゲーム形式にする必要なんて、なかったじゃないですか」
少し、軽蔑の意味も込めて言う
こんなにもユーリを騙すことが辛いとは思わなかった
それもこれも、シオンのせいです
そんな僕の意思を汲み取ってくれないシオンは、くっくっくと笑った
「名演技だったぜ?カナデに演技の才能があったとはなぁ
ゲーム形式にしたからこそ、俺に懇願するユーリが見られたんだぜ?ゲーム形式は正解だろ
しかしまあ・・・そうだったとしてもあのキスはいただけねえ
危うく殺しかけたぜ」
「歴史書の偽装、レン頑張っていましたよ?
本っ当に面倒くさい作業なんです、から・・・」
出血多量
ぐにゃりと視界が歪み、意識が飛びそうになる
「だが俺はなにも死ねとは言ってないぜ?」
「ユーリに悪いことした僕なんて、要らないですからね」
なんてこと。僕はユーリを騙したのです
でも、僕は死ねる。ユーリに意地悪した、僕は罰される
自己満足ではありますけど・・・赦してもらえるかも
「僕がもしあの時・・・我儘を言って、ユーリの後を追って現界に降りていなかったら・・・・・・
歴史はがらりと変わっていたのに」