魔王vs神王→私!?



『・・・シオン様・・・?』








「ッッッッ!?!?!?」









なぜ、生きているんだ・・・?








俺は今、この手でユーリの心を潰したはず・・・!







焦りで、思考回路が鈍る







その隙を、突かれた









血に染まる、俺の胸元






血の赤を認識した瞬間に、一気に痛みがおしよせた









『・・・・・シオン』








愛しいユーリの口から聞こえてくるのは、カナデの声









そのとき、ようやく気付いた








あいつは、ユーリに術をかけていたのだと







ユーリがその顔に浮かべるのは、見慣れた笑顔







『ふふふ・・・僕はユーリを守らなくちゃいけないんです。

ユーリは必要ないって言ったけど、やっぱり必要だった

僕、ちゃんとユーリのこと守れました

・・・ね?ユーリ。

今は僕が表面意識を支配しているから貴女の意志は、この体に反映されませんけど・・・声くらいは、僕になら届いていますよ』










ゆったりと会話をしているうちにも、血は広がっていく









魔王であるため、治癒力は高いはずなのに、治りが遅い











これもまた、カナデの仕業なのであろう









忌々しいといった視線を投げかけても、カナデは特に気に留める様子もない








『ユーリ、シオンはね、貴女をだましていたんです

許せないでしょう?

ねえ、許せないよね?

そんなに悲しまないでください、ちゃんと用が終わったらこの体はお返ししますから・・・』











事情を知らない奴が見たら、完全なる一人遊び








それでもカナデは、ユーリとの会話をつづけていた










< 261 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop