【短編】グラさん観察
そんなかんじで、壱とヒデは海に戻ってしまった。
それからしばらく、海の家でみんなとオシャベリしてたんだけど
花鈴は祐くんとデート☆なんて言って帰ったし、真紀は真紀で逆ナンしてくるとかなんとか言ってたし。
気付けば残ったのは私だけの状態………、どうしよ。
当たりも若干暗くなってきて、海の家もそろそろ閉店の時間。
あまりにもヒマなせいで、ハー…と小さなため息が零れた。
「雛、誰か待ってるのか?」
砂浜で体操座りをするあたしの後ろから、聞き馴れた声がした。
「あぁはい。陵さんはこれから帰るんですか?」
声の主は、海の家の店長の陵さん。
陵さんは、あのカレー氷を作るような変わった人で……まぁ変な人だね。