【短編】グラさん観察
★壱side★
砂浜の砂を巻き上げ、何度もコケそうになりながら、陵さん……という奴の家を目指した。
だけど、
―――――…ズルッ
そんな音がした瞬間、天と地が反転した。
「ったぁ。……俺、マジダサいな」
美佐のためにこんなに汗だくになるまで走って。
挙げ句のはてには、ヅッコケるとは……………。
そんな俺を嘲笑うかのように潮風が頬をかすめる。
こんな事をしている場合ではない。
一刻も早く美佐の元へ…………………。