【短編】グラさん観察
★壱side★
夕陽が地平線の彼方に沈んで行くころ、俺はようやく陵さん……という奴の家に着いた。
辺りは、漆黒のように静かで、波の音だけが俺の心に響く。
意を決し、奴の家のチャイムを押そうとした瞬間、耳を疑うような声が聞こえてきた……。
「…っあ………だっ……めぇ…っく……もぉ……む…り」
「…っ…美佐……ムリなら……力…抜けよ……楽に……なるから……ぅ…俺も……ヤバイ…な…も……ダメ…かも…」
血のけがサァーッと引くのがわかった…………。
目の前が真っ暗になって行く。
何だこの声………。
やっぱりアレだよ………………な?