【短編】グラさん観察
壱は、家を出た後もグイグイ引っ張っていく。
……掴まれた手首が痛い。
「ちょっと壱、なんなの!?」
ホント、意味が分からない。
2人してなんなの?
「ちょっと……壱ってば!!聞い「シ――…。美佐、上…見て?」
文句を言いかけた私の言葉を壱の言葉が遮った。
不満を持ちつつも、壱に言われた通り上を見上げる。
「………わぁ」
私は、頭の中が真っ白になった。
空には、凄い数の綺麗な星たち……。
「これを美佐に見せたかったんだ」
壱はそう言うと、いままで見たことないくらい幸せそうな顔をした。
そして、私の目を真剣な目で見つめて言った。