Snow-Drop
第1章
『郵便受け』
学校の帰り道、奈々は顔に触れる木枯らしに少し苛立ちをみせる。
「寒いなー。早く春にならないかな♪」
「何言ってるの?やっと冬らしくなったのに!」
奈々の呟きに、幼馴染みの苺が呆れ顔で返す。
奈々は、モコモコの厚手のマフラーで鼻が隠れるように巻き直しながら言った。
「だって、寒いの苦手だし、なによりクリスマスシーズンがもうすぐ目の前だし・・・。」
「確かに、寒いのは私もあんまり好きじゃないけど、クリスマスは嫌いじゃないよ!クリスマスシーズンになると、ウキウキしてきちゃう♪街はキラキラしてて綺麗だし♪」
上機嫌の苺を見て奈々は深い溜め息をついた。
確かに、イルミネーションは綺麗だと思うけれど・・・やっぱりクリスマスは嫌い・・・皆のお家は楽しいパーティーの思い出ばかりだろうけれど、私のクリスマスの思い出は・・・・
「奈々?奈々?・・・奈々!!」
心配そうに苺が奈々の顔を覗き込む。
「ごめん、ごめん。」
「どうしたの?今年も奈々のパパとママは忙しくてクリスマスに一緒に過ごせないの?」
「うん。・・・でも平気だよ!いつものことだし!」
「でも・・一人じゃ淋しいじゃん・・・。
そうだ!!今年は我が家で一緒にやらない?前は一緒にやってたじゃん♪」
「ありがとう♪でもごめんね!!今年はその時期から塾に通うかなって思ってて、今、親と交渉中なんだ♪」
「そっかー、ちょっぴり残念。でも、塾じゃしょうがないよね!」
「そうなんだよ。ごめんね!」
「奈々のパパもママも医療従事者だから、奈々も医療系に進むの?」
「実は、まだ全然決まってないんだよね・・決まってないけど、後で後悔はしたくないから、今からやれることはしておきたいかなって。」
「偉いね♪」
「全然!」
話ているうちに、あっという間に家まで着いてしまった。お互い手を振りあって別れを告げ互いの家へ帰って行った。
奈々は玄関に揃えて靴を置こうと目線を下げたとき、郵便受けに数枚郵便物が入っているのが目についた。
「何かな?ダイレクトメールかな?・・・これはママ宛・・・これは・・・?・??・!」
聞き覚えのない学校からの便箋が、奈々宛に届いたのだ。
奈々は自分以外の郵便物を、ホワイトカラーで統一されたリビングにある白いテーブルの上に置いた。
その白いテーブルの上には1枚の紙が置いてあり、娘への置き手紙だった。
{奈々へ
今日も帰りが遅くなりそうです。
悪いけど、夕飯は適当に食べてね。
ママより}
紙の下には無造作に置かれた五千円札。
奈々にとってはいつものことだった。
「さっきのコンビニでお弁当買ってくれば良かったな・・毎日なんて言わないから、ママの手料理で家族皆で食べられたらいいのに・・」
置き手紙をテーブルに置きながら、ボソッと呟いた。
学校の帰り道、奈々は顔に触れる木枯らしに少し苛立ちをみせる。
「寒いなー。早く春にならないかな♪」
「何言ってるの?やっと冬らしくなったのに!」
奈々の呟きに、幼馴染みの苺が呆れ顔で返す。
奈々は、モコモコの厚手のマフラーで鼻が隠れるように巻き直しながら言った。
「だって、寒いの苦手だし、なによりクリスマスシーズンがもうすぐ目の前だし・・・。」
「確かに、寒いのは私もあんまり好きじゃないけど、クリスマスは嫌いじゃないよ!クリスマスシーズンになると、ウキウキしてきちゃう♪街はキラキラしてて綺麗だし♪」
上機嫌の苺を見て奈々は深い溜め息をついた。
確かに、イルミネーションは綺麗だと思うけれど・・・やっぱりクリスマスは嫌い・・・皆のお家は楽しいパーティーの思い出ばかりだろうけれど、私のクリスマスの思い出は・・・・
「奈々?奈々?・・・奈々!!」
心配そうに苺が奈々の顔を覗き込む。
「ごめん、ごめん。」
「どうしたの?今年も奈々のパパとママは忙しくてクリスマスに一緒に過ごせないの?」
「うん。・・・でも平気だよ!いつものことだし!」
「でも・・一人じゃ淋しいじゃん・・・。
そうだ!!今年は我が家で一緒にやらない?前は一緒にやってたじゃん♪」
「ありがとう♪でもごめんね!!今年はその時期から塾に通うかなって思ってて、今、親と交渉中なんだ♪」
「そっかー、ちょっぴり残念。でも、塾じゃしょうがないよね!」
「そうなんだよ。ごめんね!」
「奈々のパパもママも医療従事者だから、奈々も医療系に進むの?」
「実は、まだ全然決まってないんだよね・・決まってないけど、後で後悔はしたくないから、今からやれることはしておきたいかなって。」
「偉いね♪」
「全然!」
話ているうちに、あっという間に家まで着いてしまった。お互い手を振りあって別れを告げ互いの家へ帰って行った。
奈々は玄関に揃えて靴を置こうと目線を下げたとき、郵便受けに数枚郵便物が入っているのが目についた。
「何かな?ダイレクトメールかな?・・・これはママ宛・・・これは・・・?・??・!」
聞き覚えのない学校からの便箋が、奈々宛に届いたのだ。
奈々は自分以外の郵便物を、ホワイトカラーで統一されたリビングにある白いテーブルの上に置いた。
その白いテーブルの上には1枚の紙が置いてあり、娘への置き手紙だった。
{奈々へ
今日も帰りが遅くなりそうです。
悪いけど、夕飯は適当に食べてね。
ママより}
紙の下には無造作に置かれた五千円札。
奈々にとってはいつものことだった。
「さっきのコンビニでお弁当買ってくれば良かったな・・毎日なんて言わないから、ママの手料理で家族皆で食べられたらいいのに・・」
置き手紙をテーブルに置きながら、ボソッと呟いた。
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