Snow-Drop
       『榊 奈々』


奈々は、小学6年生。

身長が高く、顔も大人びているためいつも実年齢より高めに見られがちである。

小学校低学年までは、家に家政婦がいて母親代わりだった。しかし、家に家政婦がいることで周りから嫌味を言われたり、嫌がらせを受けるようになると、母親に頼み込み家政婦のいない[普通の]家にしてもらい、それ以来置き手紙とお金に代わった。

嫌がらせを受けなくなった代わりに淋しさとの闘いとなったが、自分で家政婦を雇わせないようにした手前、淋しいとは言えなかった。

両親ともに医師で毎日忙しく働いている。

その為、母親の手料理は数えるほど。
家政婦が居なくなってからは、近所のコンビニ弁当が夕飯に並ぶ回数が増える一方だった。

以前幼馴染みの苺に、クリスマスパーティーに招待され、行ったことがある奈々。

パーティーはとても楽しく、苺の母親の手料理はとても美味しくて、その時間がとても幸せを感じる時間でもあったが、逆に家族の暖かさを見せつけられ、羨ましく淋しさが増したのも事実だった。

一人で食事をする奈々を気遣って、苺家が食事に誘ってくれるが、理由をつけては断っていた。

今日の夕食も近所にあるセブンでのお買い物。
知っている同級生達に会わないよう、目の前にあるサンドイッチを二つ掴み、レジを済ますと足早にコンビニを後にした。

奈々は家に戻ると、自分の部屋がある2階へとコンビニの袋を手に下げて上がる。

キッチンで一人で食事をするのは淋しさとの向き合いになり、奈々は一人の時は必ず部屋で食事をとっている。

奈々の部屋も母親がコーディネートした為、白で統一されている。しかし、奈々の好みは違うようで、所々にピンクや赤の小物が見受けられる。

特にお気に入りは、白のソファーの上に並んだテディベア達のようだ。
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