土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
マジか!



伊東に襲われたあの日以来、梓は、俺を避けるようになった。




俺は、梓に、菓子を買った。




土方「おなごの気を引きたくて、こんなの買うなんて・・・らしくねぇな・・・。」




梓の喜ぶ顔を考えると、そんな事が、どうでもよくなる。




土方「はぁ・・・俺も重傷だな・・・。」




屯所に帰ると、ちょうど、梓に出くわした。




梓「あっ!ひ、土方さんっ!お、お帰りなさい!」




土方「あ、あぁ。そうだ、これ、梓、食うか?」




梓は、俺が持ち上げた包みに目を輝かせた。




梓「はいっ!また、どなたから貰ったんですか?」





土方「えっ?あ、あぁ。そうだ。捨てるのは、勿体ねぇ。お前が食え。」




そう言ってやると、梓は、嬉しそうに包みを受け取る。



はぁ・・・。危ねぇ。




買ってきたなんて、恥ずかしくて、言える訳ねぇ。





梓「でも、この送り主、いい加減、気付いてもいいのにね。」





土方「あ、あぁ。そうだな。」





梓に贈り物を買った時は、全て、貰い物ということになっている。




梓「でも、私が、良い目をさせてもらってるので、ありがたいですけど♪」





土方「じゃあ、このまま黙っておく。」





そう言って、梓の頭を撫でると、梓は、真っ赤になった。





梓「こ、これっ!沖田先輩と一緒に頂きます!あ、ありがとうございましたっ!ではっ!」





そう言うと、梓は、逃げるように、走っていった。





土方「総司と食うって・・・。そんなつもりで買ったんじゃねぇんだが・・・。」








そう呟く声は、虚しく消えた。










昼過ぎ・・・。





書簡を一段落させて、雪隠へ向かう廊下・・・。





ん?





縁側で、梓と総司が、仲良く並び、茶を啜りながら、俺が、買った団子を食っていた。






それは、見たまんま言うと、恋仲か、夫婦だ・・・。



仲良くじゃれながら、楽しげに、俺の買った団子を二人で食ってる。





それを見ると、胸の奥が、ジリジリと痛む。





二人を見ていると、小姓の前川が呟く。




前川「あのお二人は、仲が良いですねぇ。沖田先生は、おなごには、興味無さそうなのに、梓さんは、特別なのかなぁ・・・。まるで、恋仲か夫婦だ・・・。」





違う奴からもそう見えるって事は、そうなんだろう・・・。





総司も本気だということか・・・。





キャッキャッ二人で言ってるのを横目に俺は、グッと唇を噛んだ。




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