土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
俺は、元々、こういう奴だ
数日後・・・。



屯所に、意外な人間が来た。




占い屋 忠兵衛の忠兵衛だ。




忠兵衛「お久しぶりでございますね。土方さん。いや、新選組副長の土方さん。」




何でだ?何で今更・・・。




俺の考えてることが、解ったのか、忠兵衛は、佇まいを正した。




忠兵衛「ここに、寺井 梓殿は、いらっしゃるか?」





土方「梓?どうして・・・?」





忠兵衛「実はですね、平成の世に行った姫様が、向こうで、失恋をしてしまって、もう、幕末に帰りたいと言うんですよ。で、平成生まれの梓殿も、こんな幕末に居るのは危険でしょうし、私も、未来へ行く人間を探すより、梓殿に戻っていただいた方が、何かと都合がよい。それで、今回、お話を持ってきました。梓殿は、いますか?」





土方「何だよ!それ!梓を何だと思ってるっ!」




俺が、怒鳴っても、忠兵衛は、飄々としている。





忠兵衛「梓殿は、ここに、いらっしゃいますよね?あなたの運命のおなごなんですから。側に置いてると思ったんですが・・・。それに、梓殿にとっても良いお話でしょ?元の時代に帰れるんだから。まさか、もう、夫婦になって、子が居るとか?」





土方「居ねぇし、夫婦でもねぇ!」





すると、忠兵衛は、安堵した顔をする。





忠兵衛「安心しました。あなた様の事だから、もう、孕ませてしまったのかと思いました。」






土方「アイツには、そんな事・・・。」





出来ねぇよ・・・。





簡単に手を出して良い奴じゃねぇ。






忠兵衛「なるほど。本気で、梓殿を、想われているんですね。だったら、尚更、このお話をお受けになられた方が、良いと思いますがねぇ。」




確かにそうだ・・・。




忠兵衛「あなたは、未来で、ご自分の運命を見てきた筈だ。ここに・・・あなたの側にいても幸せになれない事。便利な世で、生きてきた梓殿が、ここで生きていけるとお思いか?」





解っている・・・全部、解ってる。




土方「それは・・・。」




俺も不安な所だ。




コイツの言ってることは正しい。




忠兵衛「あなた様ほどの方でも、迷うのですね。“鬼の副長”と異名が残っているくらいなのに・・・。」





忠兵衛は、梓に自分から言おうかと言ってきたが、俺は断った。





ついに、この日が来てしまったんだ・・・。





元に戻るだけのことだ・・・。





< 104 / 121 >

この作品をシェア

pagetop