土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
梓が、帰ってしばらくすると、色々な事が起こった。
山南さんの脱走。
伊東が、御陵衛士として、組を抜けた。
全てが、史実通りに動いている。
土方「はぁ・・・。」
そして、総司もついに隊務がこなせなくなってしまった。
沖田「ケホケホ・・・。土方さん・・・。僕って、刀で死ねるんですよね?」
悲しそうな目で、俺を見てきた。
まるで、そう言ってくれと言わんばかりに・・・。
俺は何も言わなかった。
土方「お前は、俺の言うことなんて聞かねえだろうが・・・。」
沖田「ははっ。そうですね・・・。でも・・・あの時、土方さんが鬼になってくれて良かった・・・。」
土方「どういうことだよ。」
総司は遠い目をして、咳をこぼしながら呟く。
沖田「だって・・・。こんな情けない姿を梓には、見せたくないし・・・。この病の成れの果てを見て来たんです。僕・・・あんな姿、晒せない・・・。」
土方「そうかよ・・・。」
沖田「僕の事、捨ててくれて構いませんから・・・。今なら、まだ、腹斬ることも出来ますし・・・。」
馬鹿やろうが・・・。
土方「そんな事させるわけねぇだろ?お前は、ここの一番隊組長だろ?」
そう言うと、総司は、少し目を大きくして、手で、顔を隠して「はい・・・っ。」と肩を震わせた。
俺は、総司の頭を撫でて、部屋を出た。
土方「総司・・・。お前は人の言うこと聞かねえじゃねぇか・・・。史実だってそうだろ・・・っ。史実通りにさせんじゃねぇよ?」
総司・・・死ぬんじゃねぇ・・・。
部屋から聞こえる総司の咳を背中に受けて、俺は部屋を離れた。