土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
感謝感激!でも、やっぱりバカなのか?
京に来て、しばらく経った頃・・・。
俺らは、京で壬生狼と恐れられていた。
そこの副長になった。
かっちゃんとの夢・・・。
侍になるために、俺は、厳しい規律を決めて、この壬生浪士組を纏めている。
そんなときに、総司が、バタバタと帰ってきた。
総司は、最近、おなごと初めて恋仲になったと周りの奴らが、噂していた。
今日は、総司は、非番だから、てっきり、逢瀬を楽しんでいると思っていたが、もう、帰ってきたのか?
沖田「失礼しますよっ!」
声と同時に襖が開いた。
沖田「怪しいのが、いたので、連れて来ました。僕や、土方さんの事、知ってるんですよ。」
ゆっくり見ると、間者では無さそうだが、怪しい召し物を着たおなご。
ソワソワして、犬みてぇだ。
梓「っ!」
俺は、形式的なことを聞く。
土方「お前、名は?」
梓「寺井 梓です。」
土方「幾つだ?」
梓「じゅ、17です。」
そうおなごが、答えると総司が、声を上げた。
沖田「17!?嘘!?こんな17いるの?なんか、頼りなさすぎ・・・。顔は、それなりの歳かと思ったけど、喋り方とか、有り得ない・・・。」
梓「あ!数えで18です。」
18には、見えねぇ。というか、何だ?このわらしの雰囲気は・・・。
沖田「ええぇぇぇ!?」
総司は、ポンと、自分の額に手を置いた。
何なんだ?この胸がソワソワする感じは・・・。
土方「で?どっから、来た?」
俺が、その質問をすると、パァッと、寺井の顔が、明るくなる。
梓「えっと!私は、約150年程先の未来から来ましたっ!」
沖田「は?」
その答えを、聞いた瞬間、頭の中の霧が、スッと、晴れた。
梓・・・。
梓は、今までの事を、話している。
嘘だろ?
俺のために、ここまで来たのか・・・?
何の疑いもなく、ここまで、来たのか?
梓「なので、私は、用事が、無いなら、占い屋 忠兵衛に行って、元の時代に帰りたいんです。」
俺と総司は、顔を見合わせる。
そういえば、占い屋は、どこへ行ったんだ?
沖田「あのさ・・・。その占い屋忠兵衛って、ちょうど、5、6年程前に、流行ったんだけど、いきなり、消えたんだ。だから、狐じゃないかって・・・ねぇ?」
土方「あぁ。」
俺は、話を合わせる。
梓「じゃ、じゃあ、沖田先輩は?土方さんって人の為に、時渡りして来たって・・・っ。」
沖田「僕は、ずっと、ここにっていうか、土方さんと一緒だったよ?ちなみに、その人が、土方さん。」
梓「嘘っ!?じゃあ、取り憑かれてるっていうのは・・・。」
沖田「まぁ、何かに、取り憑かれてるってのは、合ってるか・・・も。痛っ!」
また、コイツは失礼な事を。
俺は総司の頭を叩く。
梓「じゃあ、私は、どうやって、帰ったら良いんですか!?沖田先輩!」
沖田「そんなの知らないよ!」
梓「そんなの酷いよ・・・。だって、沖田先輩が・・・。沖田先輩が、守るって言ってくれたから、ここまで、来たのにっ!」
梓は、泣きそうになりながら総司に抗議している。
沖田「そんな事、言っても、僕は、知らないし!」
まぁ、そうだろうな。
総司は、全くもってわからない話だ。
土方「はぁ・・・。つまりだ。お前は、行く宛が、無いと言うことか?」
梓「はい・・・。」
土方「そうか・・・。だったら、どっかで、働けるように・・・。」
ここにいるのは危険だ。
梓「沖田先輩の側にいます!」
梓・・・。お前、そこまで、俺(沖田先輩)の事、信じてたのか?
沖田「なっ!ばっ!馬鹿な事、言わないでよ!お美代ちゃんにも、勘違いされてるのに、お前みたいなのが、引っ付いていたら、余計に・・・。」
だったら、梓は、俺の所にいるより、総司の側が、安心できるだろう。
ちょうど、総司には、好いてるおなごがいる。
だから、総司が梓に惚れる心配は無いだろう。
は?
俺は、今、何を考えた?
俺は、梓を総司に、取られたくないと思ってるのか?
いや、違う!
多分、これは、申し訳なさからだ。
騙して、ここまで、来させたから、良心が、少し痛んでいるだけだ。
俺は、総司の肩をポンと叩く。
土方「お前が、子守な?」
沖田「無理ですって!」
土方「おい、寺井、お前は、総司の側が良いんだろう?」
梓「はい!」
そう梓が、答えると、総司は、冷たく梓を睨む。
でも、何度も、俺が、梓に、その目をしてきて、慣れているのか、梓は、微塵も怯えていない。
さすがだな。
そして、俺は、バレないように、普通のことを聞く。
土方「じゃあ、その占い屋 忠兵衛が、見つかるまでは、ここに置いてやる。その代わり、未来のことを、教えろ。」
梓「未来のこと?」
土方「そうだ。お前、この時代の事を知ってるんだよな?だったら、この先、何が起こるか、わかるんだろ?」
梓「いや・・・。それが・・・。勉強苦手で、特に、歴史は、欠点ばっかで・・・。」
沖田「はぁ・・・。つまり、役立たずなんですよ!お荷物って事でしょ?」
梓「沖田先輩!相変わらずの私にだけ、毒舌・・・。」
沖田「取りあえず、どうするんですか?」
ここに居させるなら、何か、出来ることもあるだろう・・・。
まぁ、平成からのこの時代だ。
慣れるだけでも、大変だろう・・・。
土方「何か、取り柄もあるだろう。総司、取りあえず何でも、やらせてみろ。」
そう言うと、総司は、はぁ・・・。と深い溜め息をついた。
そして、梓は、総司と共に、部屋を出ていった。
梓が、俺の運命を変えてくれた。
深く、考えずに、来たのか?
やっぱり、バカか?
まぁ、とにかく、梓は、俺が、守る。
そう、心に、誓った。