土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
俺の気持ち
とある日・・・。
近藤「とし・・・。少しいいか?」
土方「あぁ。」
近藤「総司の件だ。」
土方「総司?」
あいつ、また、悪戯でもしたのか?
近藤「あいつ、恋仲がいるみたいだな。」
土方「あぁ。」
近藤「どんな相手か、知ってるか?」
土方「いや。」
そういや、総司が、恋仲と一緒にいるのを見たことがない。
近藤「山崎に調べさせた。」
土方「で?間者だったとか?」
それだったら、付き合いを、やめさせねぇといけねぇ。
近藤「いや。普通の医者の娘だ。」
土方「そうか・・・。」
少し、安堵する。
おなごに、興味の無かった総司が、梓を手元に置いて、勘違いをされるのが嫌だと言っていた。
それだけ、好いてるのに、間者だったと言われたら、傷付くだろう。
土方「で?」
近藤「あいつ・・・。コソコソ会ってるようなんだ。」
土方「まぁ、壬生狼と呼ばれて、嫌われている俺らが、普通の付き合いが出来るとは、思えねぇけどな・・・。」
近藤「あぁ。それでな・・・。向こうの親からも、付き合いを止めさせろと言って来られた。」
土方「本人からだと、総司が、何するか、わからねぇとか思ってるのか?」
近藤「まぁ、そんな所だろう。それに、その娘も、人には、見られたくないが、総司の事は、好いてるらしくてな・・・。」
近藤「何なんだよ。それは・・・。だったら、周りに、どう見られても、総司に付いていけばいいじゃねぇか・・・。」
近藤「まぁそうなんだが・・・。」
好きだと言ってるくせに、肝心な所で、逃げるおなごか・・・。
俺が、あっちで、出会ったおなごと一緒だ。
所詮、好きだと言っても、その程度だ・・・。
近藤「こちらとしては、その娘の嫁ぎ先を、紹介する事となった。」
総司は、苦しむな・・・。
今まで、おなごに、興味もなく、強くなる事だけに、こだわって、ここまで来た総司が、初めて、好いたおなごと恋仲として、結ばれたのに・・・。
土方「俺から、話すか?」
近藤「いや。俺から、話す。」
土方「わかった。」
その方が良いだろう。
そして、その夕刻・・・。
総司が、俺の部屋を訪ねてきた。
沖田「あれ?梓は?」
土方「は?来てねぇが?」
沖田「え?じゃあ、どこ行ったんだ?」
土方「いねぇのか?」
沖田「はい・・・。ちょっと、言い過ぎて、拗ねて出て行ったから、てっきり、土方さんの所かと・・・。」
土方「今日は、一度も来てねぇ。」
沖田「そんな・・・。出て行った・・・?」
総司は、青ざめる。
嘘だろ?着物を着ているとはいえ、平成ほど、平安の世では無い。
総司は、部屋を飛び出した。
土方「おい!屯所内を梓がいるか、探してくれ!」
隊士「はい!」
俺は、隊士に指示を出して、総司と共に、屯所を出た。