土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
夕刻。
皆を大広間に集めた。
土方「攘夷の奴らが、とんでもないことを企てていた。風の強い日に、京の町を燃やし、そのどさくさに紛れて、天子様を、長州へ連れ出そうとしているらしい。」
「京の町を、燃やす・・・?」
「天子様を、京から、お連れするなんて・・・。」
皆が、青ざめる。
近藤「それを、止めて、一気に、新選組の名を上げるぞ!」
土方「その企ては、どうやら、今宵、“どこかで”なされるらしいが、場所や、刻限は吐かなかった。だから、しらみつぶしに、手分けして探す。山崎、報告を頼む。」
すると、山崎が、前に出た。
山崎「報告します。攘夷の奴らは、今宵、会合を、開く予定とかで、慌ただしくするものの、場所までは、完全に把握出来ていません。僕らが、怪しく思う所は、四国屋か、池田屋です。毎回、攘夷の奴らは、池田屋を使うことが多い。ただ、こんな時に、いつもの場所で、会合をするかどうかという疑念が、あります。」
土方「もしかすると、四国屋でも、池田屋でも、ないかもしれねぇってことだ。」
永倉「じゃあ、京の町、全部を調べるということか?」
土方「あぁ。そういうことになる。」
原田「こりゃ大変そうだな。」
土方「手分けして、各組で、調べる。早速、動いてくれ!」
全員「はい!」
皆が、散り散りに動く。
俺は、総司のもとへ行く。
土方「おい。」
沖田「何ですか?」
土方「梓に、今日は、無理だと、お前の口から言っとけよ。」
沖田「何で、土方さんが、その事を、知ってるんですか?」
総司は、少し、怪訝そうな顔つきをした。
土方「“3人で”行きましょうって、誘われたからだ。」
俺は、敢えて、“3人で”を強調して言った。
すると、総司がイラついた感じで言い返してきた。
沖田「土方さんに言われなくても、今から、梓の所へ行ってきますよ?土方さんって、梓の事となると、何だか、余裕が、無くなりますね?」
総司に指摘され、イラッとしたが、俺は、逆に言い返した。
土方「そうか?俺は、至って普段通りだ。お前こそ、梓の事となると、すぐに、ムキになってるようだが?」
それを言うと、総司は、明らか敵意を向けて睨んできた。
俺も、それに乗っかり、睨み返す。
先に、視線を逸らしたのは総司だった。
沖田「もう、行きますね?あと、数刻で、戻ってこないといけないし。それでは・・・。」
総司は、そう言うと、足早に、部屋を出て行った。
俺は、その出て行った後を見つめる。
土方「はぁ・・・。俺は、何、やってんだよ。ったく。」
きっと、拷問前に見た、梓の寂しそうな顔を見たからだ。
アイツにあんな顔をさせる総司にイラついた。
土方「俺も、まだまだだな・・・。」
俺は、はぁ・・・。と一つ溜め息をついて、持ち場へ向かった。