土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
俺は、こんなに、女々しい奴だったか?
梓の脱走以来、総司は、島原に行ったり、他の幹部の部屋に行ったりと、梓を、避けているようだった。
しかし、それと、ほぼ同時に、攘夷派が、攻めてくるとのことで、警備に当たった。
禁門の変か・・・。
ここで、激戦地になる場所で、警備をさせてもらい、手柄を、上げれば、もっと上へ行けるんじゃねぇか?
俺は、会津藩に掛け合ってみたが、ダメだった。
土方「くそっ!結局は、史実通りかよ・・・。」
そして、警備の当日、俺は、少し遅れての出発となる。
そこに、先発の総司が、寄ってきた。
沖田「土方さん・・・。ちょっと、伝えてもらいたい事が・・・。」
土方「なんだよ・・・。」
沖田「梓ですが、山南さんにお願いしているので、一緒にいるように伝えてもらえませんか?迷惑かけないようにって。」
土方「は?テメェで言えよ。」
沖田「僕、もう、出ないといけないので。」
土方「おめぇ、最近、梓の事、避けてるよな?何でだよ?」
沖田「ひ、土方さんには、関係ありません!もう、行かなきゃ!お願いしましたからね!では、行ってきます!」
はぁ・・・。
何なんだよ。
あの顔は・・・。
総司の顔は、切ないほど、相手(梓)を想っている顔だった。
土方「何を諦めようとしてるのか、知らねえが、お前の立場で、贅沢な悩みだな・・・。俺だったら・・・。」
俺も、考えるべきか・・・。
俺は、屯所の中へ踵を返した。
土方「梓!」
梓に声をかける。
土方「総司からだ。山南さんにおまえのこと頼んだから、そっちにいっとけってよ。迷惑かけんなだと。」
それを、聞いた、梓は、シュンと頭を垂れた。
土方「っ!」
一瞬、梓の顔が、色っぽいおなごの顔になった。
俺は、思わず、抱きしめていた。
梓「土方さん?」
土方「総司を思って、そんな顔、してやるこたぁねぇよ・・・。」
梓「そんな顔?」
俺は、梓の顎を掴み、上を向かせると、唇を重ねた。
梓「っ!」
土方「っ!」
何やってんだ・・・俺は・・・。
俺は、逃げるように、屯所を出て行った。