土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
ある日・・・。
朝稽古を終えた俺は部屋に戻り外に出た。
土方「おぉ。」
何かとぶつかったと思ったら、梓だった・・・。
梓「すいません!って、土方さん、おはようございます!」
この匂いって、最近、芸妓が、やたら言ってた媚薬でないか?
土方「おはよう・・・。お前、その匂い・・・。」
梓「あ!土方さんも、気付いてくれました?さっき、買って来たんです!土方さんこそ、どうしたんですか?」
土方「あぁ。厠の後に、茶でも取りに行こうと、思ってな?」
梓「じゃあ、私、淹れて来ます!」
土方「あぁ。頼んだ。」
俺は厠に行った後、部屋に戻り、書簡を片付ける。
梓「失礼します。」
梓は、部屋に入り、茶を淹れてくれた。
土方「ん。うまい。」
梓「やった!」
俺は、匂いが気になり、抱きついた。
嬉しそうに、こんな匂いを漂わせて、俺の部屋に来たって事は、そうだよな?
そのつもりだろ?
土方「梓・・・。お前、俺を、誘ってるのか?」
梓「誘ってる?」
土方「そんな匂い漂わせて・・・。」
梓「そんなつもりは・・・っ。」
俺は、耳に口付けをした。
少し、顔を離し、至近距離で、見つめ合う。
何度も口付けた。
梓「っ!」
すると・・・。
スパーーーン!
「やっぱり!」
やっぱり、総司か・・・。
梓「沖田先輩・・・。」
沖田「前に、言ったよね?僕以外には、触れさせちゃダメって・・・。」
総司は、俺から、梓を奪い取り口付けをした。
梓「っっ!」
見ていて、ムカムカする。
土方「おい!止めろ!」
今度は、俺が剥がした。
沖田「自分は、良くて、僕は、ダメなんですか?」
土方「梓が、俺の所に来たから、そういうことだろ?しかも、人がイチャついてるのなんて、見たくねぇだろうが!」
沖田「僕だって、見せ付けられましたけど!朝から、何、盛ってるんですか?島原に行けば、良いじゃないですか?」
土方「お前が、行けよ?最近、入り浸ってるんだろ?」
沖田「僕の事は、良いんですよ!」
言い合っていると梓が、間に、入ってきた。
梓「二人とも止めて下さい!」
沖田「梓は、黙ってて!」
土方「あぁ。俺らの問題だ!」
梓「でも・・・。」
沖田「だいたい、梓が、いけないんだからね!」
梓「何でですか?」
は?
土方「お前、わかってて、俺の所に来たんじゃねぇのか?」
梓「へ?」
沖田「はぁ・・・。やっぱりね。わらしの梓が、そんな事するとは、思ってなかったけど。」
梓「何が?」
土方「お前の香だが、媚薬だ。」
梓が、固まっている。
梓「媚薬って・・・。」
沖田「今、おなごの間で、男を誘うのに、流行ってるっていう媚薬だよ。特に、島原の芸妓が使ってて、それが、町娘まで、流行って・・・。」
梓「男を誘う・・・。」
土方「だから、その匂い漂わせて、俺の部屋に来たって事は、そういうことだろ?」
梓「あ・・・。」
梓は、真っ赤になりながら、言い訳をしている。
梓「違います!私は、ただ、良い匂いだったから・・・。」
沖田「そういう考えなのは、梓だけだよ?この匂い漂わせて、男と部屋に二人でいたら、誘ってるとしか思えないでしょ?」
梓「確かに・・・。」
納得したようだ。
沖田「って事で。コレは、没収!」
総司は、梓から、奪った香袋をジッと見ている。
そして・・・。
沖田「ねぇ、梓・・・。コレ、自分で、作ったの?」
梓「はい。香袋が高かったから・・・。」
土方「そんなくらい、言えば、買ってやるのに。」
沖田「へぇ。梓、一応、袋は、作れるようになったのか・・・。ねぇ、僕にも、作って?」
梓「え?」
沖田「だから、僕のも、作って?」
すると嬉しそうに返事して、俺の方に向いた。
梓「はい!じゃあ、土方さんの分も、作ります!」
土方「ん?あぁ。頼む。」
しばらくして、梓は、約束通り、香袋のような御守りを持ってきた。
梓「土方さんが、無事に、いつでも戻ってこれるように願いを込めました!」
土方「ありがとう。」
おなごから貰ったもので、久々に、嬉しいものだった。