土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
それから、しばらくして、俺の不安は的中した。




梓と伊東が、仲良くなっていた。




土方「はぁ・・・。あれほど言ったのに、総司の奴、何やってんだよ・・・って、あいつは、風邪か・・・。」




今、梓は、総司に頼まれて、薬師の所に行っている。




誰かを付けようとしたら、断られた。





しばらくして、茶を取りに行くと、梓が、お勝手から出てきた。





土方「何やって・・・って、総司か?」





梓は、粥を持っていた。





梓の手作りか・・・。





少し、総司が羨ましく思った。






梓「はい!薬師さんが、薬の前に何か食べさせるようにって事だったんで、お粥を作ってました!冷めないうちに行ってきます!」




土方「あぁ。」





そう言うと、梓は、嬉しそうに総司の所へ行ってしまった。





俺は、溜め息を一つ吐き、お勝手に入った。





土方「う゛・・・。何だよ、これ・・・。」




お勝手は、盗人に入られたのかと思うほど荒れていて、異臭が漂う。




土方「これ・・・。」





鍋に残った物は、この世の物とは、思えない物だった。




何かの虫の胴体と足がバラバラになっている。





そして、まな板の上には、どっかの根っこが、洗われずに刻まれて、どこからかの雑草も置いてあった。




土方「総司・・・。今から、これ、食わされるのか・・・?死ぬなよ、総司・・・。」





羨ましいと思った気持ちは、微塵もないくらい消えた。





俺じゃなくて良かった・・・。




もし、俺だったら・・・。





覚悟して食ってただろうが・・・。






鍋に残った物を見て、俺は、自分ではないのに、悪寒がした。







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