土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~
土方「本当に手の掛かるガキ共だ・・・。」
言葉では、悪態を尽きつつ、口元には笑みが浮かんでいた。
何だかスッキリした気分だ。
やっぱり、梓の元気が無い顔を見ているのは、こっちも気分が下がる。
土方「はぁ・・・。何やってんだよ、俺は。」
恋敵に塩を送る様なことをして・・・。
でも、まぁ、梓の笑った顔が見れたから、良しとしよう。
そう思い、部屋に戻った。
部屋に戻ると、もう宴は、お開きになっていた。
梓は、どこだ?
梓の姿が、どこにもなかった。
そこに、総司が来た。
土方「総司、梓はどこだ?」
沖田「え?土方さんと一緒だとばかり・・・って、違うんですか?」
嫌な予感がする。
土方「クソッ。おい、探すぞ!」
沖田「はいっ!」
俺達は、手分けして、部屋を探した。
スパーーン!
目の前に梓・・・と、梓に馬乗りになり、口付けを交わす伊東の姿。
俺は、頭の中が真っ白になった。
土方「てめぇ・・・何してやがる・・・。」
伊東は、ゆっくり、顔を上げた。
そして、勝ち誇ったように俺を見た。
伊東「何って、無粋な事を・・・愛し合っていたんですよ?」
土方「はぁ?」
愛し合ってただと?バカバカしい。
梓の顔は、恐怖でカタカタと震えて、涙を浮かべていた。
土方「あんたの目は、節穴か?おなごにそんな顔させて愛し合ってるだとか、よく言うな。離れろ・・・。」
俺は、刀を抜いた。
伊東「くくくっ。法度を決めたご本人自ら、破るのですか?これは私闘では?」
土方「私闘?笑わせんなよ。これは、どう見ても、おなごを襲ってる奴を成敗してるとこだろうが・・・。」
すると、背中から、気の抜けた声がした。
沖田「鬼が何を成敗してるんですか?逆でしょ?それ。」
そう言って、俺の横に立った総司が納得したように言う。
沖田「なるほど。確かに、これは、成敗ですねぇ。」
一気に、総司が、殺気を纏い刀を抜いた。
沖田「伊東さんって、強かったでしたっけ?」
土方「知らん。総司、後、頼んだぞ。」
俺は、梓を伊東から剥がして抱き寄せた。
沖田「えぇ?またぁ?たまには、ご自分で、やって下さいよ。」
土方「こういうのは、お前が、向いてる。それに・・・コイツ、梓に馬乗りになって、接吻してたぞ。ちなみに、愛し合ってるんだとよ。」
それを聞いた総司はピクリと肩を揺らす。
沖田「へぇ・・・。随分とナメた真似を・・・。伊東さん・・・。真剣で“稽古”して下さいよ?道場主なんですよね?」
伊東「真剣でって・・・。あなたは、バカですか?真剣で稽古だなんて・・・。それに、ここで・・・。」
沖田「ハハッ。僕が、バカなら、あなたは、何なんですか?梓なんかに発情しちゃって。でも・・・梓を泣かしたのが、あなたなんだとしたら・・・。気分が悪い。」
土方「梓、行くぞ。」
俺は、梓を抱きしめて、屯所へ戻った。