土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~


土方「てめぇ・・・何してやがる・・・。」



土・・・方さん?





その声は、怒っていて、ピリピリとしていた。





伊東「何って、無粋な事を・・・愛し合っていたんですよ?」




土方「はぁ?」




私、助かったの?




土方さんの顔を見て、涙が、ポロポロとこぼれて、今頃、体が震えてきた。





土方「あんたの目は、節穴か?おなごにそんな顔させて愛し合ってるだとか、よく言うな。離れろ・・・。」




光が、反射して、眩しい。



そちらを見ると、土方さんが、刀を抜いていた。




あ・・・。




伊東「くくくっ。法度を決めたご本人自ら、破るのですか?これは私闘では?」





土方「私闘?笑わせんなよ。これは、どう見ても、おなごを襲ってる奴を成敗してるとこだろうが・・・。」





そうだ。たまに、屯所内で、喧嘩が起こると、私闘は、粛清だって言ってた。



すると、土方さんの後ろから、気の抜けた声がした。




沖田「鬼が何を成敗してるんですか?逆でしょ?それ。」





沖田先輩・・・。




私の乱れた姿を見て、状況把握した沖田先輩。





沖田「なるほど。確かに、これは、成敗ですねぇ。」





沖田先輩もピリピリしだして、刀を抜いた。




沖田「伊東さんって、強かったでしたっけ?」





土方「知らん。総司、後、頼んだぞ。」





土方さんは、私を抱きしめて、着物の合わせを綺麗にしてくれた。






沖田「えぇ?またぁ?たまには、ご自分で、やって下さいよ。」




土方「こういうのは、お前が、向いてる。それに・・・コイツ、梓に馬乗りになって、接吻してたぞ。ちなみに、愛し合ってるんだとよ。」




それを聞いた沖田先輩はピクリと肩を揺らす。





沖田「へぇ・・・。随分とナメた真似を・・・。伊東さん・・・。真剣で“稽古”して下さいよ?道場主なんですよね?」





沖田先輩、ものすごく怒ってる・・・。




伊東「真剣でって・・・。あなたは、バカですか?真剣で稽古だなんて・・・。それに、ここで・・・。」




沖田「ハハッ。僕が、バカなら、あなたは、何なんですか?梓なんかに発情しちゃって。でも・・・梓を泣かしたのが、あなたなんだとしたら・・・。気分が悪い。」





土方「梓、行くぞ。」




土方さんは、そう言うと、私を抱きしめて、部屋を出た。
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