光
第1章
キラキラ輝く光が
街を埋め尽くす。
一見綺麗に見えるけれど
そこにはいろいろな闇が隠れている。
嘘と欲望の塊。
人間は、みんな汚い生き物だ。
キラキラというよりも、ギラギラとしたその繁華街をピンヒールの音をカツカツさせながら、進んでいく。
その音で自分を奮い立たせているように。
「よっ!あれ?どっかで会った?」
下手なナンパ。
繁華街を歩いていると、こんなのは日常茶飯事だ。
ナンパにも、下手なのと、上手いのがある。
今日は、ものすごく下手な方だ。
別に高飛車になっているわけではないけれど
あたしはその声にぴくりとも反応せず、前を通り過ぎる。
これから仕事に向かうのだ。
すでにイライラしているのに、そんな声をかけてくる奴を、本気でうっとうしく思うけれど
人に説教できるほど
あたしもできた人間じゃない。